廊下は減らすだけでいい?3実例で見る、移動・収納・視線から考える間取り
この記事の内容
玄関からリビングまでの廊下をなくせば、その分を部屋に使えるのでは。図面を見ると、そう考えたくなるかもしれません。ただ、来客が通るときに何が見えるか、帰宅後にどこで物をしまうかまでたどると、面積だけでは決めにくくなります。
今回は、来客と家族の通り道を分けたJUST+(ジャストプラス)、廊下に建物形状に合わせた収納を設けた株式会社アーキテクト、収納を通り抜ける山広の平屋を紹介します。廊下を残す方法だけでなく、収納と通路を重ねる方法も見ていきます。
3実例を比較した後には、幅、照明、階段位置についての解説も取り上げます。実例の配置と解説者の考えを分けながら、自宅ではどの移動を残し、何と兼ねられるかを整理しましょう。
JUST+(ジャストプラス)・来客動線を分けた家|見せる道と片付ける道を分ける
来客用の廊下には、リビングへ迎える役割がある
この家では、玄関で来客動線と家族動線を分けています。来客は靴を脱いで廊下を通り、リビングへ進みます。廊下の照明は壁側にずらして配置され、その光を楽しみながら入ってもらう構成だと説明されています。
来客側について語られているのは、生活感を見せないことです。廊下を進む場面では照明や中庭にも触れられており、移動の途中で目に入る景色を紹介しています。
ここから読み取れるのは、この廊下が部屋へ到達するためだけの場所ではないということです。自宅で検討するときも、玄関からの距離だけでなく、来客に何を見せながら迎えたいかを図面に書き込むと、残す理由を具体化できます。
家族側は、収納と扉を組み合わせて隠す
家族側にはシューズクローゼットがあり、靴を置き、カッパをハンガーに掛けられます。また、扉を1枚設け、閉めると収納側の散らかりが見えないようにしています。普段使う家族側の経路には、書類をしまったり、帽子を置いたりできる棚も紹介されています。
動線を二つに分けるだけでなく、物を置く場所と、それを隠す扉まで組み合わせている点が参考になります。自宅では、靴や雨具をどこで外し、どの位置で扉を閉めるかまで確認したいところです。来客の立つ位置から、収納の中が見えるかも確かめましょう。
帰宅後の着替えまで通り道につなぐ
棚の紹介に続いてファミリークローゼットが登場し、帰宅してすぐ着替えられると説明されています。その後、ぐるっと回って来客側の動線へ戻る場面があり、家族側と来客側が回遊できる構成になっています。
この構成を検討するなら、帰宅後すぐ着替えたいのか、先にリビングへ行きたいのかを家族で確かめてください。二つの道を設けること自体ではなく、来客の見え方と家族の片付け・着替えを分ける必要があるかが判断の出発点です。
株式会社アーキテクト・2階に廊下収納のある家|斜めの形を棚に生かす
建物形状に合わせて廊下収納をつくる
この家では、2階の廊下にも収納を設けています。その部分は建物の形が斜めになっているため、棚板も斜めにしていると説明されています。形に合わせた棚で、その場所を有効活用する意図が示されています。
ここで参考にしたいのは、廊下全体を減らす案とは別に、その場所の形に合わせて収納を計画する方法です。自宅の図面に斜めの壁や不整形な部分があるなら、まず何を置ける形なのかを確かめ、通る場所と収納する場所を描き分けてみましょう。
収納を設けることと、使い方を決めることは別
動画で確認できるのは、廊下に収納があり、棚板を建物形状に合わせたことまでです。廊下収納に入れる物や、誰が使う収納なのかは、この場面では説明されていません。個室の収納不足を補うために設けた、とまでは言えません。
取り入れる際は、棚をつくれるかだけでなく、そこへ何を取りに行くのかを決めたいところです。入れたい物の奥行き、取り出す人の立ち位置、その横を通る人の経路を重ねて確認しましょう。斜めの棚なら、場所によって使える奥行きがどう変わるかも図面で確かめる必要があります。
山広・収納を通り抜ける平屋|朝の動きに通路を重ねる
寝室から服を取り、洗顔と食事へ進む
この平屋では、収納の中を通り抜けて、その奥の寝室へ向かいます。朝は寝室で起きてから服を取り、水回りで顔を洗い、食事へ進む。そうした生活のタイムスケジュールに合わせたつくりだと説明されています。
収納は、立ち寄るだけの場所ではなく、部屋へ向かう途中にあります。動画でも、廊下から各部屋へ分かれる構成だけでなく、収納を通って寝室へ行く方法があると提案されています。
ここから読み取れるのは、廊下を省く前に、移動中に何をするかを決めていることです。自宅でも、起きて最初に服を取るのか、洗顔が先なのかをたどってみてください。収納の位置が自分たちの順序に合うかが、この構成を選ぶ判断材料になります。
収納を通り道にするなら、通る場面も描く
この家の説明では、移動しながら服を取れることが挙げられています。一方、収納内の通路幅や出入口の建具仕様は、この場面では分かりません。通り抜ける配置は確認できますが、寸法まで同じように取り入れるための情報はありません。
検討時には、衣類を選んで立ち止まる人と、寝室へ向かう人が同時に使う場面を描いてみましょう。収納量だけでなく、人が立つ場所と通り抜ける場所を確保できるかを確認することが大切です。廊下という名前がなくても、移動のための場所は必要です。
書斎の手前では、収納を音への配慮にも使う
書斎については、収納をワンクッション挟んで入る構成だと説明されています。動画では、その収納がリビングの音を吸収し、仕事などに使いやすいという考えも述べられています。ただし、音の低減量を示す測定結果は紹介されておらず、ここで確認できるのは配置とその説明までです。
廊下を減らす案では、静かに過ごしたい部屋とリビングの間に何を置くかも考えたいところです。収納を挟む配置を参考にしつつ、必要な静けさは、会話、テレビ、オンライン会議など具体的な音で伝えましょう。収納があれば十分と決めず、壁や扉の仕様も含めて相談してください。
3実例の違いは、通り道に何を受け持たせるか
JUST+(ジャストプラス)は、来客と家族の道を分け、収納側を扉で隠しています。株式会社アーキテクトは、廊下に収納を設け、斜めの建物形状に棚板を合わせています。山広は、収納自体を通り抜ける構成にして、朝の動作につなげています。
前者は「誰がどこを通り、何を見るか」、次は「通路に接する場所をどう使うか」、最後は「通路と収納を兼ねられるか」という違いとして整理できます。同じ収納のある動線でも、隠すための収納、形を生かす収納、通り抜ける収納では検討する点が異なります。
どの構成でも、通る場所と物を出し入れする場所は図面で確認したいところです。また、音への配慮は山広の動画で説明されていますが、それを他の家や別の仕様の性能保証には置き換えられません。廊下の面積を比べる前に、残したい役割と、別の場所に重ねられる役割を分けてみましょう。
住宅系YouTuberはこう解説している
まかろにお【工務店&ハウスメーカー攻略法】|長さを減らす前に、欲しい幅を確かめる
廊下を広く取りたいという個人の希望
この解説では、話者自身に廊下を少し広く取りたいという希望があり、以前に描いた間取りでは広めにしていたと述べています。一方、今回の提案間取りについては、要所要所が通常サイズになっていると説明しています。具体的な推奨幅は示されていません。
これは、広い廊下が万人に必要という話ではなく、幅への好みも要望になるという判断材料です。自宅では、荷物を持って歩く、家族とすれ違うといった動作で、欲しい幅を確認してみましょう。
住宅四天王 エース【ハウスメーカー選びの専門家】|照明は明るさだけでなく、向かう先も考える
廊下の先や壁を照らすという提案
この解説では、照明は明るければよいわけではないとし、廊下の向こうや壁を照らして、そちらへ向かうようにする考え方を紹介しています。人の動きを意識した照明計画としての提案であり、この場面で効果の検証結果が示されているわけではありません。
廊下を残す場合は、器具の数だけでなく、どの壁や行き先を明るく見せたいかも相談できます。見せ方の希望と、歩くために必要な明るさを分けて伝え、実際の器具や点灯状態で確認したいところです。
家づくり せやま大学【ちょうどいい塩梅の家づくり】|廊下を短くする検討は階段位置から
2階へ上がる位置と各部屋への道を一緒に見る
この解説では、階段を端に置いて廊下ばかりになるとスペースがもったいないと述べています。そのうえで、廊下をなるべく短くするため、階段を家の中央へ上げる考え方を説明しています。
2階の廊下を減らしたいなら、廊下だけを削る案ではなく、階段から各部屋までの道を描き直す案も相談してみましょう。中央に置くことを一律の正解とせず、1階の間取りと2階の個室配置を両方見ながら比べるための視点です。
打ち合わせで確認したいこと
- 玄関から来客が進む道では、靴や収納の中がどこから見えるか。扉で隠す範囲と、動線を分ける必要性を確認したか。
- 帰宅後、靴や雨具をしまい、着替えるまでにどこを通りたいか。家族用の別動線はその順序に合っているか。
- 廊下の斜めの壁や不整形な部分を収納にするなら、何を入れるか。棚の場所ごとの奥行きで収まるか。
- 廊下収納から物を取り出す人の立ち位置と、その横を通る人の経路を図面に描けるか。
- 収納を通って寝室へ行く案では、朝の洗顔・着替え・食事の順序に合うか。服を選ぶ人と通る人が重なっても使えるか。
- 書斎とリビングの間で抑えたいのは、会話、テレビ、オンライン会議のどの音か。収納の配置だけでなく壁や扉の仕様も相談したか。
- 廊下の幅は、荷物を持って歩く場面や家族とすれ違う場面で確認したか。
- 廊下の照明で見せたい壁や行き先はどこか。見せ方と歩行に必要な明るさをそれぞれ確認できるか。
- 2階の廊下を短くしたい場合、階段位置を変える案も比較したか。その変更は1階と2階の間取りにどう影響するか。
廊下を減らすことと、移動を暮らしに合わせることは同じではありません。見せたくない物、途中でしまう物、静かに過ごしたい部屋を図面に重ねて、残す道と兼ねる道を考えてみてください。関連する実例を見るときも、廊下の有無だけでなく、その先で何をするかまでたどると比較しやすくなります。
実例を詳しく見る
あわせて読みたい記事
豪邸のガレージは玄関とどうつなぐ?3実例で見る出入り・収納・視線の考え方
車から雨にぬれずに入る道と、来客が玄関へ向かう道をどう考えるか。ガレージと玄関の接続が分かる一邸を軸に、駐車場と玄関の仕上げ・靴収納、ガレージ開放時の視線を扱う二邸も紹介。確認できる配置と理由から、打ち合わせの論点を整理します。
記事を読む →ダイニングの後ろはどれくらい空ける?2実例で考える、椅子と家事の通り道
ダイニング背面に収納を設けた家と、独立したテーブルを置かずカウンターを選んだ家。2実例の配置理由と、椅子を引いたときの狭さを扱う解説から、着席・配膳・収納の動きを図面で確かめる方法を整理します。
記事を読む →テレビ・ソファ・窓はどう並べる?2実例で考える、LDKのくつろぎ方
テレビを見ながらくつろぎたい。窓の外の景色も楽しみたい。窓の高さで見える風景を整えた安成工務店と、テレビまわりに合わせたソファで過ごすアイ工務店の2実例から、座る場所と見たいものの関係を考えます。
記事を読む →