HOUSE TAG JOURNAL

扉を壁になじませて目立たせないには?3実例で見る「消す・なくす・残す」の分け方

HOUSE TAG編集部 · 公開
この記事の内容
  1. ホームランディックの岐阜の家|トイレ扉を壁の一部として見せる
  2. アーチのスタッフの平屋|見えない位置と立ち上がり壁で扉を減らす
  3. 共栄ホームの平屋|ゲストと家族の境目は残し、見え方は軽くする
  4. 3つの実例を比べると、隠したかったものが違っていた
  5. 打ち合わせで確認したいこと

廊下から見えるトイレ、リビング横の収納、洗面まわりの境目。生活感を出したくない場所ほど、扉をなるべく目立たせたくないと感じやすくなります。

ただ、実例を比べると方法は一つではありません。トイレ扉を壁と同じクロスでまとめて存在感を下げた家があり、パントリーをリビングから見えない位置に置いて扉を付けなかった家があり、ゲスト用と家族用を分けるために洗面まわりへ扉を残した家もありました。

見たいのは、どんな扉を使ったかより、なぜその場所で扉を消したかったのか、あるいは残したかったのかです。壁面を静かに見せたいのか、視線が届かなければ十分なのか、境界として閉じる必要があるのか。この順で整理すると、自宅での判断もしやすくなります。

ホームランディックの岐阜の家|トイレ扉を壁の一部として見せる

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洗面横のトイレでも、閉じる機能は残している

この家では、玄関から入ってすぐの洗面台の近くにトイレがあります。トイレの中には手洗いを設けず、出てから外の洗面で手を洗う流れとして紹介されていました。その場面で印象的なのが、トイレ扉の存在感です。動画では、入口の存在がすぐには分からない見え方として説明されています。

しかも、ここで行っているのは扉をなくすことではありません。トイレとして閉じる機能は残したまま、見え方だけを壁側へ寄せています。壁と同じクロスで扉をつくっていると説明されており、建具というより壁面の一部として扱う考え方です。

トイレのように扉そのものは必要でも、入口らしさを弱めたい場所はあります。まず分けて考えたいのは、扉をなくしたいのか、扉の存在感だけを下げたいのかです。

仕上げをそろえた理由は、扉単体ではなく壁面全体を静かに見せるため

この扉については、その壁は強く主張しなくてよい場所だと説明されたうえで、壁と同じクロスでなじませる扉にしたと続いていました。少なくとも動画内で確認できるのは、扉単体より、その面全体の見え方を落ち着かせる意図です。

ここで大事なのは、工夫の中心が扉だけの話ではないことです。壁面の中でどこを目立たせ、どこを背景に回すか。その整理の結果として、扉の仕上げが決まっています。

参考にしたいのは、建具選びの前に『この壁は背景かどうか』を決めること

この家では、壁と同じクロスで扉をつくり、その壁は強く主張しなくてよい場所だと説明されていました。だから、なじませる扉にしたと語られていました。

ここから読み取れるのは、扉を消す発想は建具単体のデザイン選びでは終わらないということです。その面を背景として整えたいなら、仕上げをそろえる考え方が合いやすくなります。反対に、建具も見せ場にしたい面なら、同じ方法が最適とは限りません。

アーチのスタッフの平屋|見えない位置と立ち上がり壁で扉を減らす

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パントリーは、閉じる前に『リビングから見えない』配置をつくっていた

この平屋では、冷凍庫やウォーターサーバーの置き場まで含めて、キッチンまわりの収納が細かく計画されています。その中でパントリーについて語られていたのは、リビングから見えない位置にしていることでした。見えないため、カーテンや扉は付けていないと説明されています。

さらに、ただ奥にあるだけではありません。動画では、立ち上がった壁があるから見えないとも説明されていました。つまり、収納を隠しているのは建具ではなく、位置関係と壁の立ち上がりです。

扉を減らしたいとき、先に確かめたいのは入口を閉じるかどうかより、普段くつろぐ場所から何が見えるかです。見えない配置をつくれれば、扉を付けなくても落ち着く場合があります。

LDK内のメイクスペースも、全部を隠すのではなく手元だけを見せない考え方だった

同じ家では、メイクスペースもLDKの中に計画されています。背景として語られていたのは、普段からリビングの中でメイクをすること、子どもを見ながら支度したいことです。

リビングから手元が見えないようにしてほしいという希望があり、そのために少し立ち上がった部分が大事だと説明されていました。メイク道具が出たままになることがあっても、リビングからは見えにくいようにしています。

パントリーでもメイクスペースでも共通しているのは、使いやすさを残したまま、見せたくない範囲だけを視線から外していることです。全部を扉の中へしまうのではなく、見える場所を調整しています。

この家が優先したのは、収納を消すことよりリビングの見え方を守ること

パントリーの位置や見え方については、建築家が細かいところまで考えてくれた提案だと語られていました。住まい手自身も、リビングが汚くならないように片付けやすくしたいことを話しています。

ここから読み取れるのは、扉をなくす工夫は『見せたくない物がある』だけでは成立しにくいということです。どこから見えると気になるのかまで整理できると、建具を増やすべき場所と、配置で解決できる場所を分けやすくなります。

共栄ホームの平屋|ゲストと家族の境目は残し、見え方は軽くする

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洗面まわりを、入口側のゲスト用と奥の家族用に分けている

この平屋では、洗面まわりの途中に扉があります。理由を尋ねられた場面で、入口側から先はゲスト用、こちら側はプライベート側だと説明されていました。さらに、入口近くの手洗いはゲストが使い、家族は奥側で手を洗ったり化粧したりする流れも紹介されています。

つまり、この扉は生活感を隠すためだけのものではありません。誰がどこまで使うかを切り替えるための境目です。来客も通る洗面まわりでは、扉が公私の線引きとして働いています。

閉めても重く見えにくいよう、ガラス越しに植栽が続く

この扉については、ガラスなので閉めても植栽が見えると説明されていました。扉を開けておけば、どこから見ても緑が見えるとも紹介されています。

ここで面白いのは、境界をつくる判断と、景色の連続感を残す判断が両立していることです。扉を残したい場所でも、素材や見え方を調整すれば、重さを和らげる余地があります。

閉じたい場面があるなら、扉を消すより役割を優先する

紹介の中では、ドライヤーの音が気になるときに、この扉を閉められるのが良いという話が出ていました。少なくとも、閉じて使う場面が想定されていることは確認できます。

扉を目立たせたくない気持ちがあっても、来客との境界や身支度の途中、音が気になる時間帯など、閉じたい理由があるなら答えは変わります。そんな場所では、扉をなくすより、残したうえでどう軽やかに見せるかを考えたほうが合いやすそうです。

3つの実例を比べると、隠したかったものが違っていた

比較すると、ホームランディックの家は、トイレ扉を壁と同じクロスでつくり、扉の存在がすぐには分かりにくい見せ方でした。アーチの平屋は、パントリーをリビングから見えない位置に置き、メイクスペースは立ち上がりで手元を見えにくくしていました。共栄ホームの平屋は、ゲスト用と家族用の境目として扉を設けつつ、ガラス越しに植栽が見えるようにしていました。

整理すると、実例ごとの違いは次の通りです。ホームランディックの家は『扉は必要だが主張させたくない』、アーチの平屋は『見えなければ扉を付けなくてよい』、共栄ホームの平屋は『境界として閉じたいので扉は残す』という考え方でした。

視線の処理も違います。ホームランディックの家は仕上げをそろえて壁面に溶け込ませ、アーチの平屋は見えない位置と立ち上がり壁で視線を止め、共栄ホームの平屋はガラスで抜けを残しながら境界をつくっていました。

だから、扉を目立たせたくないときの最初の問いは『どの建具にするか』だけでは足りません。消したいのは扉の存在感なのか、見える物なのか、それとも公私の境目のあいまいさなのか。そこが分かると、なじませる・なくす・残すの選び分けがしやすくなります。

打ち合わせで確認したいこと

  • この面は、壁として静かに見せたい場所ですか。それとも建具も含めて見せ場にしたい場所ですか。
  • その入口の先は、本当に扉で閉じないと落ち着きませんか。見えない位置や立ち上がり壁で解決できる余地はありますか。
  • ソファ、ダイニング、玄関など、普段の視線の起点から何が見えますか。入口の正面だけで判断していませんか。
  • 来客が使う範囲と、家族が身支度する範囲は分けたいですか。どこで切り替えたいですか。
  • 閉じたい理由はありますか。音、身支度中、来客時など、具体的な場面まで言葉にできますか。

扉を壁になじませて目立たせない工夫は、建具の色や素材だけで決まるわけではありません。壁面の中で存在感を下げたいのか、見えない位置にできるのか、それとも境界として閉じる必要があるのか。3つの実例を見ると、答えはその場所の役割から決まっていました。打ち合わせでは、扉のデザインの前に、何を見せたくなくて、どんな場面では閉じたいのかを具体的に伝えることが近道になりそうです。

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