実例から見えた、室内干しを考えるときの配置と設備の組み立て方
この記事の内容
洗濯機の近くに物干しを付ければ、室内干しは考え終わり。そう思いやすいですが、実際はその先に手間が残ります。乾燥機に入れない服はどこへ掛けるのか。乾いた物はその場でたたむのか。外にも出すのか。ここが曖昧だと、干せても回しにくい場所になりがちです。
今回の実例では、洗濯機の横で干してそのまま外へ出られる家、限られたランドリーに掛ける・置く・たたむを重ねた家、室内干しで完結させてバルコニーの役割を変えた家が見られました。
同じ室内干しでも、何を楽にしたかったのかで、必要な配置も設備の組み合わせも変わります。ここでは実例ごとに、干す場所だけでなく、その前後の作業をどこまで寄せていたのかを見ていきます。
ホームランディックの29坪1階完結の家|外干しの要望を残しつつ、室内干しからその先の作業までランドリーまわりへ寄せた
まず、この家が優先したこと
この家では、外である程度物干したいという要望がありました。そのうえで、洗濯機を回してすぐ横で干せること、乾燥機で乾かさない物を室内でも干せること、さらに外にも出せることが、洗濯動線として説明されています。
室内干しを単独の設備として足したというより、乾燥機に入れない物をどう扱うか、外干しもどう残すかをまとめて考えた配置だと読めます。
洗濯機の横で干し、そのままコンクリートデッキ側へ出られる
動画では、洗濯機を回してすぐ横に干せることに続いて、乾燥機で乾かさない物はその場で室内干しでき、必要なら外にも出せると説明されています。さらに、コンクリートデッキ側へそのまま行けるようにつくっているとも語られていました。
ここで確認できるのは、室内干しと外干しを別々の計画にしていないことです。乾燥機に入れない物の受け皿として室内側があり、その延長で外へもつながっています。
外干しを残したいなら、物干し場の有無だけでなく、洗濯機から外までを何回向きを変えて運ぶかも見ておきたいところです。途中の扉や回り道が多いと、同じ「干せる」でも使い勝手は変わります。
予洗い、たたむ、アイロンまでを離さない
同じ実例では、スロップシンクで予洗いした物をそのまま洗濯機に入れ、乾いた後は近くでたたみやアイロンができる構成も説明されています。洗う前と洗った後の作業を、ランドリーまわりでつなげていました。
物干しの位置だけを見ると見落としやすいのが、干す前と干した後の動きです。この家は、予洗いと洗濯、乾いた後の整理を離れた部屋に散らさず、同じエリアで回しやすくしています。
ここから読み取れるのは、室内干しを使いやすくするには、バーの本数だけでなく、その前後の作業面も効いてくるということです。予洗いする物が多い家ではシンクの位置が、たたみ物がたまりやすい家では置く面が、使いやすさを左右しやすくなります。
パジャマや下着も近くに置き、洗濯後に使う流れまで短くする
この家では、パジャマや下着類を洗面・脱衣・ランドリー周辺の収納に置いていることも説明されていました。帰宅後はそこからパジャマを取って入浴し、上がってからリビングへ行く流れが想定されています。
室内干しの計画というと、干す場所までで話が止まりがちです。ただ、この家は乾いた物の一部をどこで使うかまで視野に入れて、収納の位置を決めています。
タオルや下着、パジャマのように洗面や脱衣の近くで使う物が多いなら、収納先も含めて考えると、干した後の戻し先がぶれにくくなります。
リヴアースの平屋|限られたランドリーの中で、干す・置く・たたむ・しまうを重ねた
まず、この家が優先したこと
この平屋のランドリーは、1616の一般的なサイズとして説明されています。その限られた広さの中で、掛ける場所、置く場所、しまう場所、たたむ場所を重ね、一部は部屋干しも想定した構成になっていました。
広い洗濯室を前提にせず、同じ面積の中で作業をどこまで完結させるかを詰めた実例として参考になります。
上に掛け、横に置き、下にしまう構成にしている
動画では、洗濯機の上にちょっとした物を掛けられるパイプハンガーがあり、タオルや下着、ストック類のスペースも用意されていました。さらに、下部には引き出し収納が入るよう設定され、使い方を立体的に組み立てていると説明されています。
この家のおもしろさは、床面積を広げたことよりも、上下の使い分けをはっきりさせたことです。洗濯機まわりの壁面まで含めて考えると、室内干しの場所と日用品の置き場を同じエリアにまとめやすくなります。
ランドリーが大きく取れない場合でも、何を上に掛け、何を近くに置き、何を引き出しに入れたいかを整理すると、必要な設備の優先順位をつけやすくなります。
乾いた物の仮置き場が、散らかり方を変えている
この実例では、一部を部屋干しし、洗濯乾燥機で乾いた物や干した物は、ひとまず近くに置いてその場でたたむ流れが説明されています。その理由として、リビングへ持っていくと、たたむまでの間に散らかりやすいため、カウンターがあるとよいと語られていました。
室内干しでは、掛ける場所は意識しても、乾いた直後にどこへ置くかは抜けやすいものです。この家は、その一手先をカウンターで受けています。
洗濯物がダイニングやソファに山になりやすいなら、必要なのは物干しの追加より、ランドリー近くの仮置き面かもしれません。干す場所とたたむ場所を切り離さない考え方です。
収納も同じ場所に重ね、戻す手間を短くしている
この家では、パイプハンガーだけでなく、タオルや下着の棚、ストック類の場所、引き出し収納まで同じランドリー内で計画されています。部屋干し、乾燥後の仮置き、たたむ作業までがこの場でつながっていました。
ここから読み取れるのは、ランドリーを一時的な作業場ではなく、戻すところまで含めた場所にしていることです。限られた面積でも、何を近くに置くかを絞れば、洗濯の往復は減らしやすくなります。
自宅で考えるなら、タオル類だけを近くに置きたいのか、下着やストック品まで寄せたいのかを先に決めておくと、棚と引き出しの組み合わせを考えやすくなります。
オオトリ建設の2階リビングの家|室内完結を前提に、バルコニーを洗濯の場ではなく過ごす場に変えた
まず、この家が優先したこと
この家では、バルコニーを洗濯物を干す生活感のある場所ではなく、楽しむための場所として計画したと説明されています。その前提として、衣類乾燥機があり、室内干しで完結できることが語られていました。
室内干しを補助ではなく主役にすると、外に何を求めるかまで変わる。そのことが分かる実例です。
室内で完結できるから、外干しの役割を持たせていない
動画では、バルコニーを洗濯物を干すための場所ではなく、使って楽しめる場所として考えたこと、その理由が衣類乾燥機などによって室内干しで完結できるからだと説明されています。
この家は、室内干しの場所を足したというより、洗濯を外へ持ち出さない前提を先に決めています。すると、バルコニーは「干すために必要な場所」ではなくなります。
外干しをどこまで残すかで、必要な設備の種類は変わります。室内完結を目指すなら、屋外への出やすさよりも、乾燥設備や室内の置き場を優先する考え方も出てきます。
視線への配慮も、過ごす場所としての計画に含めている
同じ場面では、南面のマンションからの視線が気にならないよう、壁も初期計画から組み込んでいたと説明されています。洗濯のためではなく、そこで過ごすための外部計画として語られていました。
ここから読み取れるのは、室内干しを前提にすると、外部空間は洗濯以外の過ごし方に合わせて計画しやすくなるということです。干すための近さとは別の尺度で、外の役割を決めています。
設備を足す話ではなく、暮らしの前提を決めている
この実例で確認できる事実は、衣類乾燥機があり、室内干しで完結できること、そしてバルコニーを楽しむための場所としてつくったことです。
室内干しを考えるとき、物干し設備をどこへ付けるかだけでなく、外に干す暮らしを続けたいのか、外は別の使い方にしたいのかを先に決めると、必要な面積配分も変わってきます。
3つの実例を比べると、室内干しに何を担わせるかで配置も設備も変わる
ホームランディックの家では、外である程度干したい要望を受けて、洗濯機の横で室内干しし、そのままコンクリートデッキ側へ外干しにも出られる動線が説明されていました。さらに、スロップシンク、たたみやアイロンの場、パジャマや下着類の収納もランドリーまわりに寄せられていました。
リヴアースの平屋では、1616のランドリーの中に、パイプハンガー、棚、引き出し収納、仮置きとたたみのためのカウンターを組み合わせていました。乾いた物をリビングへ持っていくと散らかりやすいため、その場で置いてたたむ考え方が語られていました。
オオトリ建設の家では、衣類乾燥機などがあり、室内干しで完結できることを前提に、バルコニーは洗濯物を干す場ではなく楽しむ場として計画されていました。南面のマンションからの視線に配慮し、壁も初期計画から組み込まれていました。
比べると、1つ目は外にも出しやすくしたい、2つ目は乾いた後に散らかりにくくしたい、3つ目は外に頼らず回したいという違いがあります。
その違いが、必要な設備の違いにもつながります。外干しを残すなら出やすさと予洗いの場所、ランドリー内で完結度を高めるなら仮置き面と近場の収納、室内完結を目指すなら乾燥設備と屋外空間の役割整理、という見方がしやすくなります。
室内干しを考えるときは、物干しを何本付けるかの前に、乾燥機に入れない物をどう扱うか、乾いた物をどこでたたむか、外に持ち出す頻度が高いかを先に整理したいところです。
打ち合わせで確認したいこと
- 乾燥機に入れない衣類は、洗濯機の近くでそのまま干したいですか。それとも別の部屋でも困りませんか。
- 室内干しは雨の日の補助ですか。ふだんからよく使う前提ですか。
- 外干しも続けたいなら、洗濯機から外までに扉や回り道がいくつありますか。
- 乾いた洗濯物を、いま家のどこに仮置きしていますか。その場所は散らかりやすくありませんか。
- タオル、下着、パジャマのように、ランドリーや洗面の近くへ戻したい物はありますか。
- 室内で完結できるなら、バルコニーやデッキは洗濯以外にどんな使い方をしたいですか。
室内干しの計画は、ランドリーに物干しを足す話だけではありません。外干しへつなぐのか、ランドリー内でたたむまで済ませるのか、室内完結で外の役割を変えるのか。実例を見ると、組み立て方は一つではなく、減らしたい手間によって変わります。打ち合わせでは、欲しい設備の名前だけでなく、洗ってからしまうまでの流れを具体的に伝えることが、合う配置を見つける近道になります。
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