HOUSE TAG JOURNAL

自宅の仕事部屋はどこに置く?景色を楽しむ書斎と、来客を迎える仕事部屋の2実例

HOUSE TAG編集部 · 公開
この記事の内容
  1. TENアーキテクツ一級建築士事務所の実例 景色と抜けを楽しむ書斎
  2. 住まい設計工房の実例 来客を迎えやすく、暮らしの通路を整えた仕事部屋
  3. 2つの仕事部屋は、誰に向けた部屋かで優先順位が変わる
  4. 打ち合わせで確認したいこと

在宅で働く時間が増えると、仕事部屋が欲しくなります。ただ、そこで誰と過ごすのかが曖昧なまま一室を決めると、暮らし始めてから違和感が出やすくなります。自分一人で働く場所と、お客さんを迎える場所では、同じ『仕事部屋』でも求める配置が違うからです。

今回の2実例でも、TENアーキテクツ一級建築士事務所の家は、実際にリモートで使う書斎として、景色、リビング側の眺め、ベランダとのつながりが語られていました。一方、住まい設計工房の家は、クライアントを迎える仕事部屋として、大きな鏡、芝生側への広がり、来客時に別ルートを使える裏動線まで含めて考えられていました。

見るべきなのは、仕事部屋があるかどうかではなく、誰に向けた部屋なのかです。2つの実例を比べながら、窓辺の過ごし方、家族の通路、来客との距離をどう変えていたのかを整理します。

TENアーキテクツ一級建築士事務所の実例 景色と抜けを楽しむ書斎

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実際に働く場所として、自宅の中に書斎を持っている

この家の書斎は、ただ雰囲気のよい一角として紹介されているのではありません。動画では「東京でお仕事しなくても こっちでもお仕事できる」と話され、実際に「リモートでやらせていただきます」と答えています。自宅で本当に仕事をする前提の場所だと分かります。

仕事部屋を考えるとき、まず整理したいのは『毎日ちゃんと使う部屋か』という点です。ここから読み取れるのは、この書斎が予備の部屋ではなく、働く拠点として位置づけられていることです。

机に向かったときの視線の抜けが、この書斎の中心になっている

この書斎では、座ったときの見え方が強く印象づけられていました。やり取りの中では、座ると周囲へ大きく視線が抜けることが話題になり、片側にはきれいな景色、別方向にはリビング側で見える外、上には天井の抜け越しの夜空まで感じられると説明されています。正面だけに窓を付けた仕事部屋とは、見え方の組み立てがかなり違います。

机が置けるかどうかだけで場所を決めると、長く座る部屋としての心地よさは後回しになりがちです。この実例は、こもるための小部屋というより、座ったまま視線を切り替えられる席として書斎を考えているように見えます。

書斎だけを孤立させず、家の景色の延長に置いている

書斎からは、目の前の景色だけでなく、先ほどリビングから見えていた外も見えると紹介されていました。さらに上を見ると天井が抜けているため、視線が横だけでなく上にも広がります。この場面だけでは正確な平面関係までは分かりませんが、少なくとも書斎の見え方が家のほかの場所と無関係に切り離されているわけではありません。

在宅ワークの部屋というと、生活空間から完全に離す発想を取りやすいものです。ただ、自分だけで使う仕事部屋なら、家の魅力が集まる場所の一つに置く考え方もあります。『閉じるか開くか』ではなく、『どの景色を仕事の席に渡したいか』で考えると、候補の場所が変わってきます。

ベランダへ出られることで、仕事の合間の過ごし方まで含めている

この書斎は室内で完結する場所ではなく、「この書斎からここのベランダにも出れる」と説明されています。外へ出ると川のせせらぎが聞こえ、そこで椅子を置いてぼんやりする過ごし方まで話題にされていました。仕事の席のすぐ先に、外の居場所が続いている構成です。

もちろん、この場面だけで集中力や作業効率がどれだけ上がるかまでは分かりません。ただ、自分一人で使う仕事部屋なら、来客動線よりも『席を立ったあと、どこへ抜けられるか』が使い心地を左右することがあります。窓の数だけでなく、気分転換の行き先まで一緒に考えたい実例です。

住まい設計工房の実例 来客を迎えやすく、暮らしの通路を整えた仕事部屋

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クライアントを迎える前提だから、仕事部屋の役割がはっきりしている

この家では、ファッションや色の相談でクライアントを迎える仕事部屋が紹介されています。相談に来た人に色の説明をする際、大きな鏡を使うと語られていました。自分だけの作業場所ではなく、人を迎える前提の部屋です。

自宅の仕事部屋でも、誰にも会わない仕事なら家の奥で成立することがあります。反対に人を迎えるなら、家族の生活空間をどこまで通ってもらうかが大きな設計条件になります。この実例は、その出発点がとても明確です。

大きな鏡と芝生側への広がりで、6畳の部屋を接客の場にしている

仕事内容に合わせて、この部屋には大きな鏡が付けられています。広さは6畳と説明され、限られた室内を広く感じられるよう、芝生側へ空間を広げる計画を当初から取り入れていたと語られています。鏡を使う仕事と、外への広がりを組み合わせた部屋です。

ここで大切なのは、狭さを単純に補う話ではないことです。鏡は仕事のための道具で、芝生側への抜けは接客の場としての広がりを支えています。来客がある仕事部屋では、机のサイズだけでなく、『相手に何を見せながら話すか』まで含めて位置を考える必要があります。

玄関近くでも生活感を出しすぎないよう、建具の見え方を整えている

この部屋の入口には大きな造作建具があり、「動く壁というイメージ」と説明されています。また、玄関に入ってすぐの位置でありながら、「その気配を消すためにここは1枚の壁に見せてるっていう設計」とも語られていました。出入りのための扉であるだけでなく、見え方そのものを調整する役割を持たせています。

来客を迎えやすい場所に仕事部屋を置くと、便利さの一方で、入口まわりが雑多に見えやすくなることがあります。この実例から読み取れるのは、近さだけでなく、扉をどう見せるかまで含めて整える発想です。玄関近くに置くなら、動線と同時に正面の見え方も確認したくなります。

寝室とのつながりと裏動線で、来客時の家族の動きを調整している

この仕事部屋は単独で終わらず、「お仕事部屋から繋がって実は寝室になってます」と紹介されています。寝室の先にはサニタリーがあり、用途によってはゲストルームにもなると説明されていました。そのうえで、来客がいるときにサニタリーへ行く動きについては、気まずさが出ないよう「こっちから裏動線がございます」と案内されています。

ここで確認できるのは、防音性能や完全分離ではなく、来客中に別ルートが必要だと考えていたことまでです。自宅で人を迎える仕事部屋をつくるなら、『客をどこから入れるか』だけでなく、『その間に家族はどこを通るか』まで一緒に整理すると、暮らしの無理が見えやすくなります。

2つの仕事部屋は、誰に向けた部屋かで優先順位が変わる

TENアーキテクツ一級建築士事務所の実例では、実際にリモートで使う書斎として、座ったときの視線の抜け、景色、リビング側の外の見え方、ベランダへのつながりが語られていました。住まい設計工房の実例では、クライアントを迎える仕事部屋として、大きな鏡、芝生側への広がり、壁のように見せる大きな建具、来客時に使う裏動線が語られていました。

前者が整えたかったのは、自分が家で働く時間の過ごし方です。仕事の席にいながら景色を楽しみ、必要ならすぐ外へ出られるようにしていました。後者が整えたかったのは、人を迎えながら暮らすことです。打ち合わせに必要な鏡を備え、限られた広さを外へ広げ、来客中の通路まで調整していました。

つまり、仕事部屋の場所は『静かな一室がほしい』だけでは決まりません。自分だけで使うなら、窓辺や外とのつながりが効く場合があります。来客があるなら、玄関との距離、入口の見え方、家族の別ルートまで一緒に考えたほうが整理しやすくなります。

どちらが正解という話ではなく、相手が変わると優先順位も入れ替わる、ということです。集中できるかを一言で済ませず、景色が欲しいのか、接客しやすさが欲しいのか、家族と交差しにくくしたいのかを分けて話すと、打ち合わせが進めやすくなります。

打ち合わせで確認したいこと

  • この仕事部屋は、自分だけで使う場所ですか。それともクライアントや知人を迎える場所ですか。
  • 机に向かったとき、正面や横にどんな景色が見えてほしいですか。窓だけでなく、リビング側の眺めや上への抜けも必要ですか。
  • 仕事の合間に席を離れるなら、ベランダや庭など、すぐ出られる先があったほうが合っていますか。
  • 来客があるなら、玄関から仕事部屋までに家族の私物や生活空間をどこまで見せてもよいですか。
  • 接客に必要な道具は何ですか。机以外に、鏡、サンプル収納、背景になる壁面などは要りますか。
  • 来客中に家族が洗面、トイレ、寝室へ行くとき、別ルートを確保したいですか。
  • 仕事部屋の扉は、存在を見せたいですか。それとも壁のようになじませたいですか。
  • 将来、仕事の内容が変わったとき、その部屋を寝室やゲストルームなど別用途へ使い替える予定はありますか。

自宅の仕事部屋は、余った一室に当てはめるより、誰とどんな時間を過ごす部屋かから逆算したほうが決めやすくなります。景色を楽しみながら働く書斎と、来客を迎える仕事部屋では、同じ在宅ワークの部屋でも置き場所の考え方は大きく変わります。広さより先に、使う相手、通る道、見たい景色を言葉にしておくと、打ち合わせで迷いにくくなります。

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