ヌックは何に使う?ひとり時間・家族の気配・片付けを支える3実例
この記事の内容
家族がリビングにいる時間に、自分は少しだけ本を読みたい。子どもには遊ぶ場所をつくりたいけれど、おもちゃの戻し先も決めておきたい。そんな希望からヌックを考えるなら、小さな空間の形だけでなく、そこで誰が何をするかまで想像してみませんか。
アーチ(ARRCH)の家では、階段下を畳敷きのヌックにし、ひとり時間や読書、子どもの遊びに使うことを想定していました。エスコネの家では、階段下ヌックの奥を、リビングから見えないおもちゃの収納先にしようとしています。
あわせて紹介する住まい設計工房の家では、同じ空間で家族の気配をつなぎながら、それぞれの居場所をつくることが大切にされていました。
今回は、ヌックの具体的な使い方を示す2例と、家全体の居場所づくりを考える1例を比較します。過ごす場所と物を戻す場所、そして家族との距離を、どう組み合わせるかが読みどころです。
アーチ(ARRCH)・階段下に畳のヌックがある家|ひとり時間と遊び場を兼ねる
階段下を、畳敷きの居場所として使う
LDKの紹介に戻った場面で登場するのが、階段下のヌックです。床には畳が敷かれています。階段下はデッドスペースになりやすいため、その部分も有効活用したいという説明がありました。空間を活用する具体策として、畳のあるヌックスペースを設けています。
ここから参考にしたいのは、階段下に空きがあるという話を、そこで過ごす場面まで進めている点です。自宅でも階段下を候補にするなら、まず座る位置と向きを図面に書き込んでみましょう。床に座るのか、腰掛けたいのかも含めて、使いたい姿勢を伝えることが出発点になります。
読書専用にせず、子どもの遊びも想定する
このヌックの使い道として挙げられているのは、ひとりになりたいとき、本を読みたいとき、そして子どもの遊び場です。読書だけに用途を限定せず、複数の過ごし方ができる場所として紹介されています。ただし、家族が実際にいつ、どのように使い分けているかまでは、この場面では説明されていません。
多用途にするなら、用途の名前だけでなく、使う時間の重なりも考えたいところです。 たとえば、大人が本を読みたい時間と子どもが遊びたい時間が重なるなら、どちらを優先するか、もう一方はどこで過ごすかを相談しておけます。これは実例で確認された使い方ではなく、自宅に取り入れる際の検討事項です。
座る場所と、持ち込む物の置き場を一緒に考える
読書や遊びの場所として計画する際は、人の動きに物の動きも重ねてみてください。本を持ってきて座り、読み終えたら戻す。おもちゃを出して遊び、終わったら片付ける。その一連の動作を図面上でたどると、ヌックの中に置きたい物と、別の場所に収めたい物を分けて相談できます。
この家の収納位置や周囲の囲われ方は、提供された説明からは分かりません。階段下だから静かに読める、子どもを見守りやすいとまでは言えないため、自宅では座った位置から何が見えるか、周囲で誰が何をするかも別に確かめたい点です。
住まい設計工房・建築士の自邸|家族の気配と、それぞれの居場所を大切にする
同じ空間にいても、過ごす場所は一つにしない
住まい設計工房のこの家では、同じ空間にいて家族の気配はつながりながらも、それぞれの居場所をつくることを大切にしていたと説明されています。家族とのつながりと、各自の居場所を持つことの両方が、設計の趣旨として語られています。
ここで確認できるのは家全体の方針であり、ヌックの存在や、その場所が担う役割ではありません。この実例は、ヌック単体の仕様を比べるためではなく、家族それぞれの居場所をどう考えるかという比較材料として取り上げます。
読書や映画など、複数の過ごす場所を挙げている
設計趣旨の説明に続いて、本を取って2階で読書することや、映画を見ることが挙げられています。さらに、ダイニング、カウンター、窓際のソファー、ロフトも紹介されます。家の中に複数の居場所があることは分かりますが、それらがすべて同じ階や一つの部屋に収まっているとは、この説明だけでは判断できません。
ここからヌックの計画に引きつけて考えたいのは、追加する一席だけでなく、ほかの居場所との関係です。家族が同じ時間に別々のことをするとしたら、誰がソファーに座り、誰がカウンターを使うでしょうか。そのうえで、ヌックでは何をしたいのかを考えると、既にある場所との使い分けを具体的に相談できます。
家族の気配を、どんなつながりとして求めるか
家族のそばにいたいことと、いつも同じことをしたいことは、分けて話し合えます。 ヌックで読書をする人と、別の場所で映画を見る人が同時に過ごす場面を、自分たちの暮らしに置き換えてみましょう。一緒に座る必要があるのか、それぞれの席が欲しいのかを先に整理する方法です。
その際、声が聞こえればよいのか、顔も見たいのか、読書中は視線を外したいのかまで伝えてみてください。図面ではヌックの候補位置と、ソファーやダイニングなど普段使う席を結んで確認します。この家の音や視線の届き方を断定するのではなく、自宅で望むつながり方を決めるための問いです。
エスコネ・階段下ヌックのある家|奥をおもちゃの収納先に使う
階段下につくったヌックに、おもちゃを収める計画
エスコネの家では、階段下のスペースを利用してヌックをつくったと説明されています。そのうえで、ここにおもちゃなどを収納しようと考えていることが語られます。紹介されているのは収納先としての利用計画であり、使い始めてから片付けがどう変わったかという実績ではありません。
アーチの実例と同じく階段下を使っていますが、この場面で具体的に語られる動作は、おもちゃを奥へ入れることです。ヌックを検討するときも、過ごす用途だけでなく、そこに何を置こうとしているかを分けて書き出すと、打ち合わせで役割を共有できます。
オープンでも、リビングから見えない位置を使う
おもちゃをそのまま見える状態で置くのかという問いに対し、説明はヌックの奥へと進みます。オープンな空間ではあるものの、リビングから見えない位置におもちゃを入れれば、片付けを終えられるという考え方が示されています。棚や箱など、収納方法の細部はこの場面では分かりません。
注目したいのは、収納する物だけでなく、どこから見えないようにしたいかが示されていることです。 自宅でも同じ考え方を取り入れるなら、リビングのどの席から見た状態を整えたいのかを決めてみましょう。ソファーに座ったときと、部屋へ入ってきたときでは、確認する視線の位置を分けて考えられます。
奥へ戻す動作と、ヌックで過ごす動作を確かめる
見えない位置を決めたら、おもちゃを誰がどのように運ぶかも確認したいところです。手前から手を伸ばして置くのか、人が奥まで入るのか。収納する物を具体的に挙げて、出すときと戻すときの両方を図面でたどってみてください。奥へ入れられることと、家族が使いたい収納方法かどうかは、分けて検討できます。
さらに、自宅では座る場所も兼ねたいなら、人が過ごす範囲と物を置く範囲を同じ図面に書き込みましょう。この実例の手前が遊び場や座席になっているとは確認できません。手前と奥で用途を分ける案も含め、収納した状態でどこに座りたいかを相談する、という順序がよさそうです。
過ごし方を増やすのか、家族との距離を考えるのか、物を収めるのか
アーチ(ARRCH)は、階段下の有効活用として畳敷きのヌックを設け、ひとり時間、読書、子どもの遊びを想定しています。エスコネは、階段下ヌックの奥におもちゃを収め、リビングから見えない位置を使う計画でした。同じ階段下でも、紹介されている使い方は、人が過ごすことと物を収めることに分かれています。
住まい設計工房の家で確認できるのは、同じ空間で家族の気配をつなぎつつ、それぞれの居場所をつくるという方針です。ヌック固有の役割ではなく、読書や映画など、家の中に複数の過ごす場所を持つ考え方として比較できます。
自宅に置き換えるなら、まず小さな居場所に何を受け持たせたいかを決めましょう。読む・遊ぶ場所が欲しいなら、使う人と時間を。家族のそばで別々に過ごしたいなら、ほかの席との関係を。おもちゃを収めたいなら、戻す位置とリビングからの見え方を確認します。これらを兼ねる場合も、同時に使う場面まで考えることが大切です。
住宅系YouTuberはこう解説している
ここまではルームツアーの実例を見てきましたが、別の角度として、住宅系YouTuberが小さな居場所をどう捉えているかも確認してみます。実例の仕様を裏づけるものではなく、ヌックの役割を考えるための補足です。
家づくり せやま大学【ちょうどいい塩梅の家づくり】|住宅系YouTuberはこう解説している
家づくり せやま大学【ちょうどいい塩梅の家づくり】の動画では、その場所について「最初は子供の遊び場」としたうえで、「ある意味こうヌック的に使っていただく場面も多い」と話しています。
あわせて、「大きくしすぎないように気をつけてください」とも述べています。この動画内では、子どもの遊び場として使い始めることと、ヌック的に使う場面があること、そして広くしすぎないよう注意することが語られています。
打ち合わせで確認したいこと
- ヌックで想定するのは、ひとり時間、読書、子どもの遊び、おもちゃ収納のどれですか。兼用する場合、最優先の用途は何ですか。
- 大人の読書と子どもの遊びが同じ時間に重なるなら、どちらがヌックを使い、もう一方はどこで過ごしますか。
- 階段下を使う場合、床に座るのか腰掛けるのか、座る位置と向きを図面上で示せますか。
- 読書や遊びのために持ち込む本・おもちゃは、使う前と使った後、それぞれどこに置きますか。
- 家族が同時に別々のことをするとき、ソファー、ダイニング、カウンター、ヌックをどう使い分けたいですか。
- ヌックからは家族の顔が見えるほうがよいですか。それとも声や気配が伝わればよいですか。
- おもちゃを見えない位置に収めたい場合、ソファーに座った目線とリビングに入る目線の、どちらを優先して確認しますか。
- 奥に収納する場合、誰が、どんな物を、どの姿勢で出し入れしますか。手前から届くのか、奥へ入るのかを確認できますか。
- 座る場所と収納を兼ねるなら、物を収めた状態で人が過ごす範囲を図面に示せますか。
ヌックの形を決める前に、そこで過ごす人、家族とのつながり、持ち込む物の行き先を整理してみてください。紹介した実例ページも見比べながら、自分たちが使いたい場面を図面に書き込み、打ち合わせに持っていきましょう。
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