生活感を隠すキッチン収納は、見える位置で変わる|3実例の隠し方と配置理由
この記事の内容
片づけたつもりでも、ダイニングから冷蔵庫が見える。玄関から入ると家電がのぞく。そんなふうに、物の量よりも「どこから見えるか」のほうが、キッチンの生活感を強くしてしまうことがあります。
ホームランディックの29坪の家では、キッチンからダイニング、中庭、リビング、和室まで見える配置が語られていました。
アーチの平屋では、生活感が出やすい物や電子レンジ、冷蔵庫をリビング側から見えにくい側へ寄せる考え方が説明されていました。
アーチの平屋とホームランディックの自然と調和する平屋では、来客時だけロールスクリーンで隠す案も紹介されていました。
優先していたことも少しずつ違います。
ホームランディックの29坪の家は、帰宅時の見栄えと、キッチンから家全体を見渡しやすいことを重視していました。
アーチの平屋は、リビング側から見せにくくしながら、冷蔵庫にも一歩で届く距離を保つことを重視していました。
もう一つのホームランディックの平屋は、時短家事をしやすくしながら、共有空間をすっきり見せることを重視していました。
以下では、収納量の多さではなく、なぜその位置で隠したのかに絞って見ていきます。
ホームランディックの29坪1階完結の家|帰宅時の見栄えを優先し、見せる側を先に決めた
キッチンから何を見たいかを、先に決めている
この家では、キッチンからダイニング、中庭、リビング、和室まで見えるようにしたいというオーダーで配置を考えたと説明されています。さらに、玄関先まで見えるため、家族が帰ってきたことにも気づきやすい位置関係です。
ここで分かるのは、収納の形を先に決めたのではないことです。まず「キッチンに立ったとき、どこまで見える家にしたいか」があり、その視線の中に何を残して何を外すかが続いています。
パントリーを通り抜けにしなかったのは、棚面と抜け感を守りたかったから
キッチン横のパントリーについては、人が入るのは最小限にしたいとし、通り抜けできる形にすると収納の棚が減る、棚が薄くなる、セカンド冷蔵庫が置きにくくなる、LDKが狭くなる方向に行くと説明されています。そのため、この家ではキッチン横に置く形が選ばれていました。
通り抜けできる収納は便利そうに見えますが、この実例では通路をつくるより、置き場と見え方を優先しています。ここから読み取れるのは、パントリーは「移動する場所」にも「受け止める場所」にもなりうるということです。どちらを優先したいかで形は変わります。
帰宅時に何を正面に見せたいかが、隠し方の基準になる
この家では、玄関からパントリーへ直接抜ける便利さよりも、「この配置にこだわりました」としたうえで、「帰ってきた時に見栄えがいいのは1番がリビング」と説明されています。キッチンとパントリーのつながり方も、その見栄えを守る判断として語られていました。
自宅で考えるなら、先に確認したいのは収納量より視線です。玄関から入ったとき、ダイニングに座ったとき、ソファに座ったときに、まず見えてほしいのは何か。そこが決まると、冷蔵庫や家電をどこへ逃がしたいかも整理しやすくなります。
アーチの平屋|家電と冷蔵庫を一歩で使えて、リビングからは見せない
生活感が出やすい物は、食器棚側の奥で受け止める
この平屋では、背面収納の横にそのまま入れるパントリー空間があり、その側が食器棚になっています。生活感が出やすい物や電子レンジのような調理器具は、そちら側に置く使い方が説明されていました。
全部を扉の中へしまう方法だけが、生活感を消す手段ではありません。この実例のように、よく使う物を近くに置いたまま、見えやすい面からだけ外す考え方もあります。
冷蔵庫は見えない角度へ。距離は遠ざけない
冷蔵庫も同じ側に隠せるようになっており、リビング側からは見えない角度に納められていると説明されています。一方で、「一歩でいける動線の良さ」があるとも話されていました。
ここから読み取れるのは、冷蔵庫を隠す方法は「遠くへ追いやる」だけではないということです。視線の向きが変われば、距離を犠牲にせず見え方だけを変えられる場合があります。
毎日は開けて使い、来客時だけ隠すという選び方もある
動画では、収納側を徹底的に見せたくない場合の案として、裏側にロールスクリーンを付け、来客時には下げておいてもよいと紹介されています。ふだんは使いやすく、必要な場面だけ視線を切る考え方です。
常に閉じておきたいのか、来客時だけ隠せれば十分なのかで、向く仕組みは変わります。毎日開け閉めする場所なら手間も気になるので、「いつ隠したいか」まで分けて考えると選びやすくなります。
ホームランディックの自然と調和する平屋|共有空間はすっきり、作業側で受け止める
庭と居場所が感じられるキッチンを、家の中心に置いている
この平屋では、キッチンから庭がちゃんと見えるように設計し、さらに畳リビング、リビング、ダイニング、スタディコーナーまで「ある程度感じられる位置」にしたと説明されています。キッチンは家の中心とされ、目線の通る庭の正面に置かれています。
この実例でも、先に整えているのは景色です。キッチン収納の見せ方は、その正面にしたい庭や共有空間の印象を崩さないための後段の調整だと考えると理解しやすくなります。
隠したい家電に合わせて、背面の奥行きを決めている
背面の造作は奥行きを45cmにして、電子レンジのサイズに合わせたと話されています。電子レンジも隠したいという前提があり、下に入る構成です。一般的なキッチンと違って冷蔵庫は横に出さず、パントリーの中に横移動で使えるようにしています。
見た目を整えるために収納を後から考えるのではなく、何を隠したいかに合わせて寸法まで決めているのがこの家の特徴です。生活感を減らしたい物が決まっているなら、その物のサイズから逆算する方法は参考になります。
表側はすっきり、裏側は受け止める場所として役割を分ける
動画では、上には基本何も置かず、ごちゃごちゃするものは腰高さから下に置くこと、そして「ごちゃごちゃしてもいいエリアはこのパントリー空間」だと説明されています。もともとは扉を設置する予定だったものの、普段はそこまで全部隠さなくてもよく、お客さまが来た時はロールスクリーンで隠せばよいという考え方も語られていました。
ここから読み取れるのは、家全体を常に片づいた状態に見せるのではなく、見せる側と作業する側を分けていることです。共有空間で整えて見せたい面がはっきりすると、裏側に引き受ける物も決めやすくなります。
3実例を比べると、隠し方より先に「どの面を見せたいか」を決めている
ホームランディックの29坪の家は、キッチンから家全体を見渡せることと、帰宅時にリビングの見栄えがよいことを優先し、玄関から直接パントリーへ抜ける形よりもこの配置を選んでいました。
アーチの平屋は、生活感が出やすい物、電子レンジ、冷蔵庫を奥側へ寄せ、リビングから見えない角度にしながら、一歩で届く距離も保っていました。
もう一つのホームランディックの平屋は、庭と居場所が感じられるキッチンを中心に置き、電子レンジや冷蔵庫、ごちゃつきやすい物をパントリー側へ受け止めることで、共有空間をすっきり見せていました。
アーチの平屋とホームランディックの自然と調和する平屋では、どちらも必要に応じてロールスクリーンで隠す案が説明されていました。来客時に視線を切る使い方として紹介されています。
3実例を通して見ると、先に考えたいのは「パントリーが欲しいか」ではなく、「玄関・ソファ・ダイニングから何を見せたいか」です。視線の通り方が決まると、冷蔵庫や家電をどこへ逃がすかが具体的になります。
そのうえで、通り抜けを優先するのか、棚面を増やしたいのか、普段から隠したいのか、来客時だけでよいのかを整理すると、自宅に合う組み合わせを選びやすくなります。
打ち合わせで確認したいこと
- 玄関から入ったとき、最初に見えていてほしいのはリビングですか、キッチンですか、それとも庭ですか。
- ソファやダイニングから見たとき、気になるのは冷蔵庫、電子レンジ、食品ストック、ゴミ箱のどれですか。
- 隠したい物は、毎日よく使う物ですか。たまに使う物ですか。
- パントリーに欲しいのは通り道ですか。それとも棚や家電の置き場ですか。
- 収納は常に閉じておきたいですか。来客時だけ隠せれば十分ですか。
- キッチンに立ったとき、正面に見たいのは庭、ダイニング、子どものいる場所のどれですか。
生活感を隠すキッチン収納は、扉を付けるかどうかだけでは決まりません。3実例に共通していたのは、先に「どこから何を見せたいか」を決め、その景色を乱しやすい物を裏側や見えない角度へ逃がしていたことです。収納計画を考えるときは、しまう量だけでなく、見える位置と隠し方の組み合わせで考えると、自分の暮らしに合う判断がしやすくなります。
実例を詳しく見る
あわせて読みたい記事
実例から見えた、室内干しを考えるときの配置と設備の組み立て方
室内干しは、物干しを付ければ終わりではありません。実例を見ると、外干しへつなぐ家、ランドリー内で置く・たたむまで寄せる家、室内完結を前提にバルコニーの役割を変える家では、必要な配置も設備の組み合わせも違っていました。
記事を読む →扉を壁になじませて目立たせないには?3実例で見る「消す・なくす・残す」の分け方
扉を目立たせたくないとき、答えは建具の色だけでは決まりません。壁と同じ仕上げで存在感を下げる家、見えない位置に置いて扉自体を付けない家、ゲスト用と家族用を分けるためにあえて扉を残す家。3つの実例を、そうした理由から整理します。
記事を読む →将来変えられる子ども部屋はどう計画する?使う時期と変え方を3つの平屋実例で比べる
今はまだ一緒に寝るし、広く遊べる場所もほしい。でも、いつかは個室が必要になるかもしれない。将来仕切る子ども部屋を考える時、実例で見えてきたのは壁の位置だけではありませんでした。子ども室をコンパクトにして長く使う場所へ面積を回す家、今はフリールームとして広く使う家、寝室やトレーニングルームまで含めて役割を入れ替える家。3つの平屋を、動画で語られた理由から整理します。
記事を読む →