60坪前後の敷地はどう間取りを組む?動線と採光の優先順位を2実例で見る
この記事の内容
雨の日に車から荷物を運ぶ。玄関で靴を脱ぎ、収納へ片付けてからリビングへ向かう。間取りを考えるときは部屋の広さに目が向きますが、こうした部屋と部屋の間の動作も、図面で確かめたいところです。
今回見るのは、いずれも60坪前後の敷地に建つ2つの住まいです。ディライツホームの家では、ガレージから雨に濡れず玄関へ入る動線と、その横の収納が紹介されています。オオトリ建設の家では、LDKの窓計画を優先しながら、ガラス扉で玄関にも光を取り込んでいました。
ここで扱う60坪は、建物の延床面積ではなく敷地面積です。建物全体の部屋数を比べるのではなく、玄関まわりで何を優先し、収納や居室とどうつないだのかを読み解きます。
ディライツホーム・ガレージのある家|車から玄関までの移動をつなぐ
敷地約60坪と、ガレージ込み40坪を分けて読む
この家は、土地が約60坪、建物の延床面積はガレージを含めて40坪と紹介されています。したがって、40坪という数字を、そのまま居室や廊下に使える面積として読むことはできません。動画ではガレージの横に収納があり、車から玄関へ向かう経路も案内されています。
自宅の面積配分を考えるなら、まず見積書や図面の面積に何が含まれるかをそろえて確認したいところです。ガレージを建物に組み込む案と、別の場所に駐車する案では、延床面積の数字だけを並べても、室内の広さや帰宅時の動きを比較しきれません。
そのうえで、車を止める場所だけでなく、降りてから玄関へ入るまでを一本の線で描いてみてください。車の使い方を重視するなら、部屋数を決める前に、その線の途中で何を持ち、どこに立ち寄りたいかを要望にしておくと検討の対象が具体的になります。
雨を避ける動線のそばに、外で使う物の収納がある
ガレージを案内する場面では、車から降りたあと、雨に濡れずそのまま玄関へ行ける動線が説明されています。また、ガレージ横の収納には、キャンプ用品、車のメンテナンス用品、ゴルフ用品などを入れられると紹介されています。収納物の例まで挙げられているため、単なる空きスペースではなく、何を置く場所なのかを想像できる構成です。
ここから読み取れるのは、帰宅の通り道と収納を別々に考えないための手がかりです。自宅に取り入れるなら、車から出した荷物を玄関へ運ぶのか、ガレージ横でしまうのかを分けてみましょう。持ち物ごとの行き先を決めてから、収納の場所と大きさを相談する順序です。
ただし、この動画で確認できるのは、収納の位置と用途の例、玄関まで雨を避けて進めるという説明までです。大型の道具を持ったときの通りやすさや、収納の扉を開けた状態での移動は、同じ配置を希望する場合にも別途確認したい点です。図面には、普段使う道具の大きさも書き込んでもらいましょう。
玄関の畳数と、横へ続く見え方を分けて考える
玄関は3畳強と説明されています。一方、案内では、横方向に奥行きがあり、空間がつながっているため広く見えると語られています。ここで紹介されているのは玄関そのものの面積だけではなく、隣接する空間まで見えることによる印象です。
玄関を広くしたいときは、「同時に何人が靴を履くか」と「入ったときにどこまで見渡したいか」を分けて伝えてみてください。前者は立つ場所や動く場所の確認、後者は壁や収納、隣の空間との関係の確認になります。見た目の広がりだけで、必要な動作ができるとは判断しないことが大切です。
オオトリ建設株式会社・名古屋市の家|LDKの窓計画と玄関の明るさを両立させる
敷地60坪に、合計31坪の3LDKを計画している
この住まいは、敷地60坪、建物は1階20坪と2階11坪を合わせた31坪、3LDKと紹介されています。敷地面積と各階の面積が分けて説明されているため、60坪が建物の広さではないことを確認できます。ただし、建物を31坪とした理由までは、この場面では語られていません。
そのため、敷地の数字だけを見て「もっと建物を大きくできたはず」と評価するのは避けたいところです。自宅の計画でも、部屋数と延床面積の希望を伝えるだけでなく、どの部屋の窓を優先したいか、玄関にどんな役割を持たせたいかまで並べて相談してみましょう。
玄関に窓を付ける代わりに、LDKから光を取り込む
玄関の紹介では、ご主人が明るさにこだわったと説明されています。本来は玄関に窓を設けたかったものの、LDKの窓計画を優先したため、そこには窓を付けられなかったそうです。そこで、LDKから玄関へ光を取り込むために、間の建具をガラス扉にしています。
ここでのポイントは、玄関の明るさという希望を取り下げたのではなく、光を取り込む経路を変えたことです。外に面する窓だけで玄関の条件を満たそうとせず、LDKとのつながりも含めて計画しています。ただし、ガラス扉の仕様や時間帯ごとの明るさは、この場面では確認できません。
自宅で同じ方法を検討するなら、まずLDKのどの窓から光が入り、どの建具を通って玄関へ届く想定なのかを図面で説明してもらいましょう。あわせて、玄関に立った人から室内がどう見えるかも確認したいところです。光を通したいという希望と、見せたい範囲を一緒に伝えるためです。
玄関の壁には、収納だけでなくアートの役割も持たせる
玄関では、窓を設けない壁にアートを飾りたいという話も紹介されています。収納扉は、アートが映えるよう白を選んだと説明されています。収納を設けるだけでなく、壁に何を飾り、その周囲をどう見せるかまで考えられていました。
ここから読み取れるのは、玄関の壁面も使い道を決めたい場所だということです。収納量を相談する際には、しまいたい靴や道具と、飾りたい物を同じ図面に載せてみてください。収納扉で埋める部分と、何も置かずに残したい部分を、別々の要望にしないためです。
この動画の収納量に関する案内を、自分たちの家族にもそのまま当てはめることはできません。靴や持ち物を整理して必要量を確かめ、そのうえで残せる壁面を相談する。そうすれば、アートを飾る場所も、収納の余りとしてではなく、玄関で実現したい使い方として検討できます。
同じ60坪前後の敷地でも、つなぐものと優先する条件が違う
ディライツホームの家では、車から玄関まで雨を避けて進める動線と、ガレージ横の収納が確認できました。オオトリ建設の家では、LDKの窓計画を優先したうえで、ガラス扉を通して玄関へ光を取り込んでいました。前者は帰宅時の移動と収納、後者は居室と玄関の採光の関係が、間取りを読む手がかりになります。
建物面積も、前者はガレージを含めて40坪、後者は各階を合わせて31坪です。この数字だけで室内の余裕を順位付けすることはできません。また、どちらの動画でも、今回の場面からは家全体の収納配分や全動線までは確認できません。
比較するときは、玄関を広くするか狭くするかという二択よりも、「玄関まで何を運ぶか」「隣の空間と何をつなぐか」「壁を収納と飾る場所にどう使うか」と分けてみましょう。面積を増やす希望と、場所同士の関係を変える希望を区別することが、打ち合わせの出発点になります。
打ち合わせで確認したいこと
- 敷地面積と延床面積を分けて確認したか。ガレージを設ける場合、提示されている建物面積に含まれているか。
- 車を降りて玄関へ入るまで、雨を避けたい範囲はどこか。その経路を配置図で確認できるか。
- キャンプ用品、車用品、ゴルフ用品などは、ガレージ横でしまうのか、玄関から室内へ運ぶのか。
- ガレージ横の収納は、手持ちの道具を出し入れできるか。扉を開けた状態と、道具を持って通る状態を図面で確認したか。
- 玄関で同時に靴を履く人数は何人か。必要な動作のための広さと、広く見せるためのつながりを分けて検討したか。
- LDKと玄関の窓の希望が両立しない場合、どちらを優先するか。玄関の光を別の空間から取り込む案も比較するか。
- ガラス扉で採光する場合、光の経路と、玄関から室内が見える範囲を確認できるか。
- 玄関に飾りたいアートや物はあるか。靴などの収納量を確かめたうえで、必要な壁面を残せるか。
60坪前後の敷地で間取りを考えるときは、部屋の数だけでなく、車から入る道、荷物の戻し先、玄関へ光を届ける経路まで図面でたどってみてください。関連する実例を見るときも、面積の数字と、その家が優先した動作や場所を分けて確かめると、自宅で相談したいことを整理できます。
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