フリースペースは何に使う?3実例で考える、暮らしに合わせた居場所
この記事の内容
休日は家族がくつろぐ場所にしたい。友人が来たら一緒に遊びたいし、ときには泊まれるようにもしたい。フリースペースには、いくつもの希望を重ねたくなります。ただ、ソファを置いたまま布団を広げられるのか、使う物をどこへしまうのかまで考えると、「自由に使える場所が欲しい」だけでは決め切れません。
今回紹介するのは、人が集まる二階のセカンドリビングを設けた建房、吹き抜けまわりでくつろぎと大物干しの使い方を提案するエムズホーム、友人の宿泊にも使える洋室を設けた株式会社サンプロの実例です。実際の利用が語られる場面と、使い方の提案を分けながら見ていきます。
比較の後には、オガスタ新潟 相模社長の「家づくりの知識」による、将来の間取りとスイッチ・電源を先に考える解説も紹介します。今の使い分けと、将来部屋を変えるための準備は、別々の論点として整理します。
建房・二階に集まる家|人を迎えるセカンドリビング
当初の平屋案とは違う、人が集まるための二階
この家は、当初は二階が必要ないのではないかという考えで、平屋の相談から始まったと説明されています。実際に設けられた二階の空間は、セカンドリビングのように、人が集まったときに使いやすい場所として紹介されています。
さらに、ここで集まって過ごすことがあるかという問いに対し、家を建ててから仲間が飲みに来ているという返答があります。集まりを想定した計画だけでなく、来客を迎える使い方も語られている実例です。ただし、平屋案から変更した理由のすべてが、この場面で説明されているわけではありません。
ここから読み取れるのは、毎日の一人時間だけでなく、人を迎える日の居場所も検討対象にしていることです。自宅なら誰を招き、どこで何をして過ごしたいのか。普段の生活とは別に、集まりの場面を図面へ置いてみると、この場所を必要とする理由が具体的になります。
投影する壁を決め、座って遊ぶ場面まで想定する
正面には、投影できるクロスが採用されています。そこへ投影し、子どもたちが座ってゲームをする使い方が紹介されます。また、その場で電動ブラインドをまとめて閉める操作も行われています。単に床を空けておくだけでなく、映像を使う場面を想定した壁と設備があります。
この実例を参考にするなら、「多目的に使う」と「何も決めない」を分けて考えたいところです。映像を楽しみたい場合は、見る壁と座る位置を先に図面へ書き込みましょう。そのうえで、集まる人数や、映像を使わないときの家具配置を検討すると、用途ごとの違いを確かめられます。
来客用の布団は二階のクローゼットへ
続いて紹介される二階のクローゼットには、友人が泊まりに来たときの布団や、普段着ないスーツなどを収納しています。使用する機会の少ない物を二階へ上げているという説明です。なお、布団の収納先は確認できますが、このセカンドリビングを寝場所にしているとは明言されていません。
来客と過ごす場所を考えるときは、集まる時間だけでなく、準備と片付けも確認しましょう。泊まりまで想定するなら、寝る場所、布団の収納先、出し入れする経路を別々に決める必要があります。収納があるというだけで、宿泊の準備まで整っていると判断しないことが大切です。
エムズホーム・吹き抜けのある家|くつろぎと大物干しを兼ねる場所
セカンドリビングと、下階で干せない物の干し場所
二階で紹介されるフリースペースには、セカンドリビングのような使い方が提案されています。加えて、布団などの大きい物を下階で干せない場合に、吹き抜けの壁へ掛けて干す使い方にも触れています。いずれも、日常的な利用実績ではなく、この場所でできる使い方としての説明です。
この提案から考えたいのは、居場所として使う時間と、家事に使う時間の組み合わせです。くつろぐための家具を置くなら、干す日に何を動かすのか。大物を運び込むときにどこを通るのか。同じ場所で両方を行うつもりなら、それぞれの状態を描き分けてみましょう。
吹き抜けの壁を使う提案は、施工条件まで確認する
大物干しの説明は、吹き抜けにある壁を利用する点が具体的です。一方、物を掛けるための設備や、どのように持ち上げて掛けるかまでは説明されていません。吹き抜けがあれば、どの家でも同じように使えるという説明ではありません。
自宅で取り入れたい場合は、干したい物を設計担当者へ伝え、掛ける位置と方法、安全に作業できるかを確認してください。くつろぐ場所との兼用を考えるなら、家具を置いた状態でも作業できるかまで相談したいところです。使い方のアイデアと、実際に使える納まりは分けて確認しましょう。
別の子ども部屋でも、今の使い方を固定しない
同じ動画では、フリースペースとは別に、つながった子ども部屋も紹介されています。将来の子どもの人数がまだ決まっていない場合を挙げ、広く遊ぶ場所にしたり、一部を仕事に使ったりするために広く取っていると説明されています。この説明は、当該住宅の家族構成が未定だと断定するものではありません。
ここから自宅の計画へ置き換えるなら、フリースペースだけにすべての役割を集める必要はない、と考えられます。遊ぶ場所や仕事をする場所を別の部屋でも確保できるなら、どちらで行いたいかを整理しましょう。ただし、この家のフリースペースと子ども部屋を一体化できると読み替えることはできません。
株式会社サンプロ・通り土間の家|宿泊にも使える洋室を用意する
友人が泊まる部屋に、ほかの使い方も残す
この家の洋室は、夫婦の友人が来たときに泊まれるゲストルームとして紹介されています。同時に、フリースペースとしても使えると説明されています。宿泊という具体的な役割がありながら、その用途だけに限定しない部屋です。
ただし、宿泊以外に何をして過ごすのか、ベッドを常設するのかは示されていません。「普段は仕事部屋」「来客時だけ家具を動かす」といった運用まで、この実例の事実として付け足すことはできません。
自宅で客間と兼ねるなら、普段の用途と、泊まる日の状態を一組で考えてみましょう。例えば机を置きたいなら、寝具を広げる際もそのままでよいのか、移動が必要なのかを確認します。「兼用できる」という希望を、来客前に必要な片付けまで含めて具体化することが検討のポイントです。
窓のある洋室と、二階の収納を別々に確かめる
洋室の紹介では窓にも触れ、明るい部屋として評価されています。その後には、二階の収納スペースも紹介されます。ただし、その収納に来客用寝具をしまうとも、洋室の荷物を収めるために設けたとも説明されていません。
この実例から、収納のおかげで部屋が片付くとまでは言えません。自宅の検討では、明るさや居心地を確認することと、兼用時に物をどこへ移すかを決めることを分けましょう。寝具と普段使う物について、それぞれの置き場所を書き込むと、泊まる日に空けられる範囲を確認できます。
3実例の違いは、何をする場所として備えるか
建房は、人が集まるセカンドリビングに投影できる壁を備え、実際に仲間を迎える使い方も語られていました。エムズホームは、フリースペースでのくつろぎと、下階で干せない大物を干す使い方を提案しています。株式会社サンプロは、洋室を友人の宿泊とフリースペースの両方に使える場所として紹介しています。
比較するときは、用途の数より、切り替える際の動作に注目してみましょう。人を迎えるなら座る位置と使う物、干すなら家具との位置関係、泊まるなら寝具を広げる場所を確認します。自宅で優先したい場面を決めると、先に備える物と、空けておく場所を整理できます。
また、これらの使い分けと、将来壁を設ける変更は同じではありません。今ある空間の中で用途を切り替えたいのか、部屋の形まで変えたいのかを分けて考えましょう。後者を希望する場合は、続く解説のように、将来の間取りを前提にした設備の確認も必要になります。
住宅系YouTuberはこう解説している
オガスタ新潟 相模社長の「家づくりの知識」|将来の間取りを変えるなら、スイッチと電源は先に考える
壁を作らないことと、計画しないことは違う
オガスタ新潟 相模社長の「家づくりの知識」は、子ども部屋を扱う動画で、オープンスペースを設けることが多いと説明しています。そのうえで、最初から壁は作らなくても、将来の間取りはあらかじめ計画しておくという考え方を述べています。
先に計画する理由として挙げているのは、スイッチや電源の位置が分からなくなることです。この解説は、将来の変更を見越した準備についての発言であり、紹介した実例に同じ電気計画が採用されていることを示すものではありません。
今の家具配置と、区切った後の使い方を描き分ける
この指摘を自宅の打ち合わせへ持ち込むなら、今は広く使う図と、将来区切る場合の図を並べてみましょう。区切った後にも、必要な位置でスイッチを操作できるか、使いたい機器の近くに電源があるかを設計担当者に確認するためです。
家具の置き替えで用途を変えるのか、壁を設けて別の部屋にするのかでも、相談内容は違います。すべてのフリースペースを将来個室にする必要はありません。変更したい範囲をまず決め、その変更に必要な準備を確かめる、という順番で考えてください。
打ち合わせで確認したいこと
- この場所で優先したいのは、人が集まること、日常のくつろぎ、大物干し、来客の宿泊のどれですか。
- 映像やゲームを楽しむなら、投影する壁と座る位置をどこに取り、何人で使う想定ですか。
- 来客用の布団はどこにしまい、実際に寝る場所までどの経路で運びますか。
- くつろぎと物干しを兼ねるなら、家具を置いた状態でも大物を運び、掛ける作業ができますか。
- 吹き抜けの壁を干し場所に使いたい場合、掛ける方法と安全に作業できる位置を確認していますか。
- 洋室を宿泊にも使うなら、普段の家具や荷物をどう扱い、寝具を広げる場所を確保しますか。
- 遊ぶ場所や仕事をする場所は、フリースペースと別の部屋のどちらに置きたいですか。
- 将来は家具の置き替えだけで対応しますか。壁で区切る可能性があるなら、変更後のスイッチと電源の位置も図面で確認できますか。
フリースペースは、用途を一つに絞らなくても、使う場面まで白紙にする必要はありません。集まる、干す、泊まるときの動作を描き、何を置き、何を動かすかを整理してみてください。紹介した実例も、その場で過ごす姿と使う物の行き先に注目して見直すと、自宅に必要な備えを考えやすくなります。
