リビング階段を開放にするか仕切るか。家族動線で見たい4つの判断軸
この記事の内容
夕食のあとも1階でテレビを見る人と、先に2階で休みたい人がいる。帰宅したら、バッグや上着をどこで止めるかも気になる。リビング階段を開放にするか、どこかで仕切るかは、そんな毎日の動きの中で迷いやすいポイントです。
今回の3実例で語られていたのは、階段の見え方そのものより、寝室へ上げたくない音やにおい、階段の先に置くトイレ、帰宅後に整える場所でした。
同じ階段まわりでも、何を楽にしたいかで答えは変わります。ここでは、必要な時だけ閉じる家、2階リビングの入口とトイレ位置を調整した家、玄関横の家族動線で階段前を整える家を比べながら、開放にするか仕切るかの判断軸を整理します。
ホームランディックの住まい|開放感は残しつつ、寝室へ上げたくない音とにおいを切る
普段は開けて使い、生活時間がずれる時だけ閉める
この住まいでは、リビングへ入る大きな扉について、普段は開けっぱなしで使っていると説明されています。閉じた状態を基本にするのではなく、まずは開いたまま過ごす前提です。続けて、景色もよいので普段は開けっぱなしだと語られています。
リビング階段まわりは、開放か閉鎖かの二択で考えると迷いやすくなります。この家のように、ふだんの基本形と、閉めたい場面を分けて考えると整理しやすくなります。まずは『いつ閉めたくなるか』を家族ごとに出してみると、扉の必要性が見えやすくなります。
リビング階段をやめた理由は、2階の寝室へ届く気配だった
この家では、閉めるのは家族の生活リズムが違う時だと説明されています。理由として挙げられているのは、テレビの音や食べ物のにおいが2階の寝室に行かないようにしたいからです。さらに、もともとリビングに階段を置く案もあったものの、音が反響したり、においが充満したりするのが嫌だったので、リビングと階段は別々にしたかったとも語られています。
ここから読み取れるのは、この家が切りたかったのは家族の存在感そのものではなく、夜に上階へ届く音とにおいだったことです。リビング階段を検討する時は、まず『2階に上げたくないものは何か』を具体的に言葉にしたいところです。会話なのか、テレビ音なのか、食事のにおいなのかで、必要な仕切り方は変わります。
欲しかったのは、いつも閉じる仕切りではなく切り替えの余地だった
動画では、扉を常時閉めて使うとは説明されていません。あくまで、普段は開けっぱなしで、生活リズムが違う時だけ閉めるという使い分けです。
ここから読み取れるのは、この家では常時仕切る前提ではなく、必要な場面だけ閉じられることを重視していたということです。
打ち合わせでは、『扉を付けるかどうか』だけでなく、『誰が、どの時間に、何のために閉めたいか』まで伝えると判断しやすくなります。毎晩閉めるのか、来客時だけなのか、夜更かしする人がいる時だけなのか。閉めたい場面が具体的になるほど、開放と仕切りの中間案も考えやすくなります。
オオトリ建設の2階リビング|階段の先に置くものまで含めて、仕切り方を考える
トイレはリビングの中ではなく、階段を上がってすぐに置いていた
この2階リビングの家では、階段を上がってすぐのところにトイレがあります。動画では、ダイニングリビングの中にトイレを構成してしまうと、においなどが気になるため、今回は階段を上がってすぐのところに設計したと説明されています。実際に、その位置には意味があるとはっきり語られています。
リビング階段を開放にするかどうかは、階段だけ見ても決めきれません。階段の先にトイレのように気配を切りたい場所があるなら、リビングと階段の関係だけでなく、その周辺の部屋配置も一緒に見たいところです。『階段が見えるか』より、『階段の先に何を置くか』のほうが暮らしやすさを左右することもあります。
大きな扉は、2階のLDKへ上がる入口として選ばれていた
この家では、階段の先に大きな扉も設けられています。説明では、リビングダイニングに上がってくる扉だからこだわりたいという話があり、その入口としてこの扉が採用されています。
扉は、音やにおいを切るための部材としてだけ考えなくてもよさそうです。ここから読み取れるのは、仕切りは性能の話だけでなく、どこを住まいの入口として見せたいかにも関わるということです。開放感と切り分けを対立させるのではなく、入口としての見え方まで含めて考えると、選び方が変わってきます。
開口の大きさは、家具をどう上げるかにも関わっていた
さらに、この開口を大きく取った理由として、2階リビングの家具搬入があるので、搬入しやすいように広くしたと説明されています。
仕切りを考える時に見落としやすいのが、人以外の動きです。特に2階リビングでは、ソファや家電をどこからどう上げるかを早めに確認しておきたいところです。階段まわりの扉や開口は、静けさや見た目だけでなく、引っ越しや買い替えのしやすさともつながっています。
ホームランディックの住まい|階段が近くても、帰宅後の流れを別にしてリビングへ持ち込む物を減らす
玄関に入るとすぐ階段が見えるが、別に家族動線がある
この家は、玄関に入ってすぐ階段が見えるつくりです。一方で、玄関土間の奥には別の家族動線があり、動画では、ここで家族が身支度を整える場所になっていると説明されています。階段が近くにあっても、帰宅後の動きは正面の見え方とは別に計画されています。
階段がよく見える家でも、そこで暮らしが散らかるとは限りません。どこを通って整えるかが別に用意されていれば、階段の見え方と帰宅後の動きやすさを両立しやすくなります。リビング階段の是非だけでなく、階段の手前で何を済ませるかを見ることが大切です。
荷物置きと手洗いを、扉に触れずに済ませる流れをつくっていた
動画では、帰ってきたら荷物を置き、手を洗ってから先へ進めることが語られています。さらに、手洗いまでに扉を全然触らなくてよいとも説明されています。階段が玄関近くにあっても、まず整える場所を挟む考え方です。
ここで考えたいのは、開放感そのものより『帰宅直後に何を済ませたいか』です。上着やバッグ、手洗いの場所が決まっていないと、階段前やリビングに物が流れ込みやすくなります。階段を仕切るかどうかで悩む前に、帰宅後の最初の数分をどう動くかを書き出してみると、必要な工夫が見つかりやすくなります。
収納を通ってリビングへ回れるので、階段前で物が止まりにくい
その先はファミクロ兼納戸につながり、さらにリビングへ回遊できると説明されています。荷物を置き、手を洗い、コートも掛けられる流れが玄関側にまとまり、そのままリビングへ戻れる構成です。玄関から入ってすぐ階段が見える一方で、持ち物を整えてから先へ進める動線が別に用意されています。
この実例は、階段を仕切るかどうかより、階段の近くで何を受け止めるかの参考になります。リビング階段を開放にしたい場合も、荷物置き、手洗い、上着収納をどこにまとめるかを先に考えると、必要以上に扉で解決しなくて済むことがあります。開放感を守りたい家ほど、散らかりやすい動きをどこで止めるかが効いてきます。
3実例を比べると、開放か仕切りかは4つの軸で見えてくる
1つ目は、2階に上げたくないものが何かです。ホームランディックの住まいでは、テレビの音と食べ物のにおいを寝室へ行かせたくないため、リビングと階段を分けて必要な時だけ扉を閉めていました。オオトリ建設の2階リビングでは、ダイニングリビングの中にトイレを入れると、においなどが気になるという考えが、階段を上がってすぐの配置につながっていました。
2つ目は、普段の使い方と閉めたい場面を分けるかどうかです。ホームランディックの住まいでは、ふだんは開けっぱなしで、生活リズムが違う時だけ閉める使い方が語られています。常に仕切る前提ではなく、必要な時間帯だけ切り替える考え方です。
3つ目は、階段の先に何を置くかです。オオトリ建設の2階リビングでは、階段の先にトイレがあり、リビングダイニングへ上がる大きな扉も設けられていました。ホームランディックの住まいでは、階段近くに家族動線、手洗い、収納がまとまり、帰宅後に整える場所として使われています。
4つ目は、人だけでなく物もどう動くかです。オオトリ建設の2階リビングでは2階リビングへの家具搬入のために開口を大きく取り、ホームランディックの住まいでは荷物を置き、手を洗い、その先のファミクロ兼納戸でコートを掛けられる流れが玄関近くにまとまっていました。
つまり、リビング階段は『開放感が好きだから開ける』『音が気になるから閉じる』だけでは決めきれません。音やにおい、閉めたい時間帯、階段の先に置く部屋、帰宅後と搬入の動きまで並べてみると、自宅に合う仕切り方が見えやすくなります。
打ち合わせで確認したいこと
- 2階に届かせたくないのは何ですか。テレビの音、会話、食べ物のにおい、トイレの気配のうち、特に気になるものはどれですか。
- 扉を付けるなら、いつ閉めたいですか。毎日閉めるのか、就寝時や生活リズムがずれる時だけなのか。
- 階段の上や近くに、トイレ、洗面、収納、家族の着替え場所のどれを置きたいですか。リビングと切り分けたい場所はありますか。
- 帰宅したら、荷物、上着、手洗いをどこで済ませますか。階段前やリビングに持ち込みたくない物は何ですか。
- 2階へ上げる大きな家具や家電はありますか。階段まわりの扉や開口の大きさで困りそうな場面はないですか。
リビング階段を開放にするか仕切るかは、階段単体の好みでは決まりません。寝室へ上げたくない音やにおいがある家、階段の先に気配を切りたい部屋がある家、帰宅後の動線を階段近くで整えたい家では、合う形が違います。打ち合わせでは『リビング階段にしたい』だけでなく、どの時間に何を切りたいのか、帰宅後にどこで整えたいのかまで伝えると、より暮らしに合う答えに近づけます。
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