玄関からの景色をどう整える?中庭・地窓・動線で見せ方が変わる2実例
この記事の内容
玄関を開けた瞬間、正面に何が見えるか。そこが暗い壁なのか、足元の庭なのか、家の内側の坪庭なのかで、同じ広さでも印象はかなり変わります。
ただ、玄関の景色は「道路側に窓を付けるかどうか」だけでは決まりません。通りから見せたくないものがある家や、外周側に窓を取りにくい敷地では、光の入れ方や家族の出入り方まで一緒に考え直していました。
今回取り上げる2つの実例は、どちらも外壁側の窓に頼りにくい玄関を前提にしながら、一方は建物中心の中庭と地窓で視線を下へ抜き、もう一方は玄関の正面を坪庭にして上からの光を受けるつくりでした。さらに両方とも、家族の靴を来客の視線から外す動線を組み込んでいます。
同じ「玄関を明るくしたい」でも、最初に見せたい景色と、見せたくない生活感が違えば、答えも変わります。ここでは実例ごとに、配置とその理由を追っていきます。
エスコネの旗竿地の平屋|足元へ視線を抜いて、窓がない玄関を窮屈に見せない
東も南も窓がない玄関だったから、光の入口を建物の中心に置く
この家は住宅密集地の66坪旗竿地に建つ平屋です。動画では、玄関は東南角にあるものの「東も南も窓がない状態の玄関」だと説明されています。外側では隣家が近く、東や南に窓を取っても景色や視線の面で取りにくい条件だったため、明るさの取り方を外壁側ではなく、建物中心に切り取った中庭へ切り替えていました。玄関から見るとその中庭は北側ですが、そこに落ちる光を玄関へ分けることで、日中は電気をつけていない状態でも明るさを確保していると紹介されています。
ここで参考になるのは、玄関が暗いからといって正面の壁に窓を足す発想だけに寄っていないことです。外周側に開きにくい敷地なら、どこに光を受けて、どこへ回すかを先に考えると、玄関の整え方を整理しやすくなります。
地窓で足元の庭を見せ、開けた瞬間の詰まりをやわらげる
この玄関には、地面に近い位置の地窓も設けられていました。動画では、この窓がないと「日中でも」電気をつけるしかなく、広がりも出にくいと説明されています。地窓によって足元の庭が見え、玄関を開けた瞬間に「視線が下の方に抜けて視線が伸びていく玄関」にしているため、窮屈さもなくなるという話でした。明るさのためだけでなく、入った瞬間にどこへ目が流れるかまで考えた窓の置き方だと分かります。
玄関でほしいのが単純な採光なのか、それとも圧迫感を減らす抜けなのかで、相性のよい窓の位置は変わります。上から光を落とす方法と、足元へ視線を流す方法は、似ているようで役割が少し違うと考えておくと比較しやすくなります。
きれいな中庭の景色を守るため、家族用の出入りを左へ分ける
動画では、玄関に入って綺麗な中庭につながる景色が見えた方が気持ちよい一方で、そこに靴が並ぶと来客時の印象が変わると説明されています。そのため家族用の出入りは玄関左側の扉の先にあるシューズクロークへ分け、来客は別のメインルートを通る構成にしていました。扉を閉めておけば、お客さんからは靴のない状態の玄関と中庭が見える、という見せ方です。
玄関の景色を整えたいとき、収納量だけでは解決しないことがあります。靴をどこで脱ぎ、どこで来客の視線から外すかまで動線で決めておくと、正面の見せ場を保ちやすくなります。
中庭の光を、玄関だけで終わらせずシューズクロークや廊下にも配る
この家では、建物の中心から玄関、シューズクローク、廊下、リビングへ光を分けているとも説明されていました。シューズクローク自体には窓がないと紹介されますが、中心側から「ほんのり光が漏れてきてる」つくりです。さらに可動棚で高さを変えられるため、靴だけでなく背の高い物にも対応し、将来は棚の数を増やすこともできると話されていました。つまり、この中庭は玄関のワンシーンをつくるだけでなく、家族が使う収納や通路まで明るさを届ける役割も担っています。
ここから読み取れるのは、内側の庭を玄関だけの演出にしない考え方です。玄関のために中庭をつくるなら、廊下や収納にも効かせるのかまで一緒に考えると、家全体での意味が見えやすくなります。
エスコネの中庭のある家|道路から閉じながら、正面を坪庭に置き換える
通りから玄関ドアも中も見せたくない。その条件から外観が始まっている
この家は前面道路から見えやすい場所にあり、玄関ドアを道路側から直接見えないようにしたい要望があったと説明されています。正面から見ると窓がほとんど見えず、どこが玄関か分かりにくい外観です。さらに木張りの壁面をアプローチとして見せ、夜はその壁が照らされながら玄関ポーチへ向かう流れも紹介されていました。隠すだけでなく、玄関へ向かう過程そのものを景色にしている構成です。
玄関を見えにくくする計画では、入口が分かりにくくなりすぎないかも確認したいところです。この実例のように、壁や照明、進む向きをそろえて「どこへ向かうか」を示す発想は、閉じた外観を採るときの手がかりになります。
入って正面の最初の景色を、表の窓ではなく坪庭にする
中に入ると、正面には表に面していない坪庭がありました。動画では、玄関を開けた瞬間に「家の中に窓がある」ように見え、上から光が降ってくると説明されています。玄関ドアを閉めた状態でも、北面玄関で表に窓がないのに、この坪庭があることで光が落ち、日中は電気をつけなくても入れる明るさになるという紹介でした。あわせて、自然が視線の先にあることで広さも感じやすいと語られています。
この家は、道路側へ抜く代わりに、家の内側に小さな外部を置いて玄関の主役にしています。正面に何を見せたいのかを決めると、窓の有無だけでは整理しにくい玄関の印象が考えやすくなります。
家族の靴やアウター、鞄は左へ寄せて、来客の景色と分ける
この家でも、せっかくの坪庭や玄関の見せ場の前に靴が出るともったいない、という説明がありました。そのため家族は正面で靴を脱がず、左側に設けた動線へ進み、そこで靴を脱いで収納します。収納の内側には棚があり、冬場のコートやアウター、鞄も玄関先で置けるようにしていました。来客時はロールスクリーンを閉めれば、中の靴を隠せる構成です。
景色を整えたいときは、見せたい場所の話だけでなく、見せたくない日用品の置き場も同じくらい重要です。特に玄関では、子どもの靴、アウター、仕事鞄の置き場が曖昧だと、正面の景色が崩れやすくなります。
浮かせた框とセンサー照明で、夜の迎え方まで整える
玄関の框は浮かせてつくられ、その下に照明器具が仕込まれていました。人が来るとセンサーで点灯する仕組みで、来客時に玄関の印象を整える演出として紹介されています。さらに夜は、その照明に加えて中庭も光ると説明されていました。また、この坪庭は玄関だけで止めるのではなく、「いろんなところから味わい尽くす」ように計画しているとも語られています。玄関の一場面として見せるだけでなく、家の中で繰り返し感じる景色として扱っていることが分かります。
昼の明るさだけでなく、夜にどう迎えるかまで含めて考えると、玄関の景色づくりはかなり変わります。照明を足すかどうかではなく、どこを照らして印象をつくるかを先に決めておくと、打ち合わせでも話しやすくなります。
2つの玄関を比べると、整えたい景色のつくり方が違う
1つ目の家は、住宅密集地の旗竿地で東・南の窓を取りにくいことが出発点でした。2つ目の家は、前面道路から玄関ドアや家の中を直接見せたくない要望が出発点です。どちらも外壁側の窓に頼りにくい玄関ですが、閉じる理由は同じではありません。
光の入れ方にも違いがあります。1つ目は建物中心の中庭から光を玄関へ分け、地窓で足元の庭を見せて視線を下へ伸ばしていました。2つ目は玄関正面を表に面しない坪庭にし、上から落ちる光で明るさを確保していました。
来客に見せたい景色を守る方法も少し異なります。1つ目は家族用のシューズクロークと来客用のメインルートを分け、扉を閉めることで中庭だけを見せます。2つ目は左側に家族用収納動線を寄せ、ロールスクリーンで生活感を隠せるようにしていました。
また、どちらも内側の庭を玄関のワンシーンだけで終わらせていません。1つ目は玄関からシューズクローク、廊下、リビングへ光を分け、2つ目は玄関だけでなくほかの場所からも坪庭を楽しむ考え方が説明されています。
ここから読み取れるのは、玄関の景色づくりでは「何を見せるか」と同時に「何をどこへ逃がすか」を決めていることです。足元に抜けをつくりたいのか、正面に内庭を置きたいのか、家族動線を分けたいのか。この優先順位を先に決めると、窓や収納の相談がしやすくなります。
打ち合わせで確認したいこと
- 玄関を開けた瞬間に見たいのは、足元の庭ですか、正面の坪庭ですか、それとも壁や飾りですか。
- 道路側に窓を増やしにくい場合、家の内側のどこから光を回せそうですか。
- 来客に見せたい玄関の景色と、家族が毎日使いやすい出入り口は同じ場所でよいですか。
- 子どもの靴、アウター、仕事鞄を、玄関の正面に出さずに受け止める場所は必要ですか。
- 内側の庭をつくるなら、玄関だけの見せ場にしますか、それとも廊下やほかの居場所からも楽しみますか。
- 夜の玄関で印象を整えたいなら、床、壁、植栽のどこを光で見せたいですか。
玄関の景色は、窓の数だけで決まるわけではありません。光の入口をどこに置くか、視線をどこへ流すか、そして靴や荷物をどこで受け止めるかで、同じ玄関でも見え方は大きく変わります。今回の2実例は、どちらも外へ大きく開かない代わりに、家の内側に見せ場をつくっていました。打ち合わせでは「明るい玄関にしたい」だけでなく、「最初に何を見せたいか」「何を正面から外したいか」まで伝えてみてください。HOUSE TAGで近い条件の実例を見比べると、自分たちに合う玄関の整え方が見つけやすくなります。
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