寝室の照明を抑えるのはなぜ?3実例で見る、まぶしさを避ける置き方と枕元の考え方
この記事の内容
寝る前に横になると、天井の光が思ったよりまぶしい。夜中に起きたときは足元だけ見えれば足りるのに、部屋全体が明るくなってしまう。寝室の照明は、明るさの強弱だけでは決めにくい場所です。
今回の3実例では、ダウンライトをなくして壁と足元の光で落ち着きをつくった寝室、将来は子ども部屋になる前提で調光できる間接照明を仕込んだ寝室、造作家具に間接照明とコンセントをまとめた寝室が紹介されていました。
同じように照明を抑えて見えても、優先していたことは同じではありません。まぶしさを避けたいのか、家族の就寝に合わせたいのか、枕元の使い勝手を整えたいのか。その違いが、光の置き方にどう表れているかを実例ごとに見ていきます。
アーチの平屋|まぶしさを避けて、寝る前の光を整えた寝室
ダウンライトをなくし、壁と足元に光を分ける
この寝室は、旅館やホテルを意識した空間として紹介されていました。照明計画もその雰囲気に合わせていて、ダウンライトは一切使わず、壁付けのブラケット照明2灯と、床上げした部分のラインに仕込んだ間接照明で部屋の明るさを保っています。出演者とのやり取りでも、これくらいがちょうどよく、ダウンライトだと割とまぶしいと感じることがあると話されていました。天井の中央から強く照らすのではなく、壁際と床際に光の居場所を分けているのが、この寝室のまず大きな特徴です。
ここから読み取れるのは、寝室では部屋全体を均一に明るくすることより、横になったときにどこから光が見えるかを整える発想が強いことです。照明計画を考えるときも、必要な明るさの量だけでなく、光源が視界に入りやすい位置かどうかを分けて考えると整理しやすくなります。
理由は、寝る前に光源が目に入りにくいようにするため
この家でダウンライトを避けた理由も、動画の中でかなりはっきり語られていました。説明では、寝室にダウンライトを付けると寝る前に刺激されると言われるため、あえて光源が目に入ってこない形で、ブラケット照明や間接照明を使うのは人気だとされています。さらに、足元側の間接照明は調光でき、夜はそこだけを残す使い方もできると紹介されていました。全部点けるか全部消すかではなく、明るさを段階的に落とせるようにしているわけです。
大事なのは、ここで語られているのが、寝室は暗いほどよいという単純な話ではないことです。寝る前にどんな光が見えるか、夜中にどこだけ照らせれば足りるかを分けて考えています。自宅でも、就寝前の時間と夜間移動の時間で必要な明かりを分けておくと、照明の数や位置を決めやすくなります。
ベッドまわりのカウンターまで含めて、枕元の役割を決めている
この寝室では、照明だけでなく、ベッドまわりの造作も一体で考えられていました。マットレスで寝る人が増えていることも踏まえ、ベッドヘッド代わりに壁をふかしてカウンターをつくり、スマホやドリンクを置けるようにしています。さらに壁面全体にもカウンターがあり、ホテルの設計手法を住宅に取り入れた例として紹介されていました。起きたらそのままベッドに腰掛けて使ったり、低い椅子を置いて化粧や勉強、書斎のように使ったりできるとも語られています。
照明の位置で迷うとき、枕元に何を置くかが決まっていないと、あとからスタンドや延長コードが増えやすくなります。この実例のように、置く物、手を伸ばす場所、座る位置まで一緒に考えると、どこに光が要るかも決めやすくなります。
光を受ける壁の素材まで合わせている
この家では、壁の素材選びも照明の見え方に合わせていました。寝室のクロスは、昔の日本の家の土壁っぽい、ざらつきのある素材をあえて使っていると説明されています。理由は、ブラケット照明や間接照明は、ぺたっとした光沢のある壁だと相性が良くなく、反射が安っぽく見えてしまうためで、陰影が出る素材を選定したとのことでした。器具そのものではなく、光が当たる面までセットで決めているのが印象的です。
寝室の照明を抑えたいなら、器具だけでなく、壁や天井の反射も見落としにくいポイントです。光を弱くしても、反射が強い仕上げだと落ち着かないことがあります。照明器具の種類と同時に、どの面で光を受けるかも確認しておきたいところです。
タイコーアーキテクトの建築家自邸|将来の使い方を見込み、段差を光に変えた寝室
今は寝室、将来は子ども部屋という前提がある
この家の洋室は、将来2つに仕切れる子ども部屋として計画されていました。ただ、紹介時点では今は寝室として使っていると説明されています。つまり、この部屋の照明は、今の寝室としての使い方だけでなく、将来の使い方の変化も見込んで考えられていました。部屋名をひとつに固定せず、家族の成長に合わせて役割が変わる前提で計画している点が、この実例の出発点です。
寝室の照明は、今の使い方だけで決めると、将来の変更時に合わなくなることがあります。子ども室への転用や、逆に個室を寝室として使う予定があるなら、その変化を最初に共有したほうが照明の位置や制御の考え方を決めやすくなります。
扉の高さの差20センチを、そのまま間接照明の場所にする
この部屋で特徴的だったのは、間接照明の納まりです。説明では、廊下の天井高さが2200、部屋側が2500で、扉が閉まったときの高さの違いが20センチあるため、その差を利用して間接照明にしていると語られていました。もともとある高さの差を活かして光を入れているわけです。
ここから読み取れるのは、間接照明は特別な大空間でなくても考えられるということです。扉上の差、天井の切り替え、下がり壁のような線があれば、そこを光の居場所にできる場合があります。部屋の形に合わせて光を納める発想は、寝室のように落ち着きを優先したい場所と相性がよさそうです。
調光できるようにして、寝室として使う時期に合わせる
この間接照明は、単に見た目の工夫として入れられていたわけではありません。動画では、子どもが小さいうちは寝室になる想定だったので、明かりを通して寝られるように、調光も全部かけられるようにしていると説明されています。全面を明るくするだけの照明ではなく、寝室として使う時期に必要な明るさへ落とし込めるようにしていることが分かります。
寝室の照明計画では、最大の明るさだけでなく、最小でどのくらい残せるかも大切です。とくに家族で就寝時間がずれる、子どもの寝かしつけがある、といった暮らしでは、調光の有無が使い勝手を左右します。まず明るくできるかより、どこまで落とせると助かるかを考えると、必要な照明の置き方が見えやすくなります。
エコワークスの平屋|枕元の設備を造作家具にまとめた寝室
ベッドの間接照明を、家具の一部として計画する
この平屋の寝室は7.5畳ほどで、動画ではベッドの間接照明が造作家具だと紹介されていました。照明器具だけを壁や天井に付け足すのではなく、ベッドまわりの家具と一体でつくっている実例です。間接照明そのものの採用理由や光の強さまでは詳しく語られていませんが、少なくとも寝る場所の近くで使う設備として、家具と照明をまとめて考えていることは確認できます。
この実例は、光の見え方そのものより、枕元まわりをどう整えるかの参考になります。寝室の照明を考えるとき、器具だけ先に選ぶと、あとから置く家具との位置関係がちぐはぐになりやすいので、ヘッドボードや棚と一緒に考える視点は取り入れやすそうです。
スマホの充電場所も同じところに寄せる
この造作家具には、スマホの充電ができるようにコンセントが付いていて、助かっているとも話されていました。
ここから読み取れるのは、寝室では照らすだけでなく、置く、充電する、すぐ手が届くまでが一続きだということです。枕元の照明を考えるときは、コンセントの位置や小物の置き場も一緒に見ておくと、後から足した物で雑然としにくくなります。
寝室の前後の動線も、枕元の使い方に関わる
この家では、反対側にパジャマや部屋着を掛ける洋服収納があり、さらに寝室、ウォークインクローゼット、LDKが過ごしやすい動線になっているとも説明されていました。平屋なので老後のことも考えて、過ごしやすい間取りにこだわったとも語られています。寝室単体で完結するのではなく、着替えや移動も近くで済む構成です。
照明の理由が細かく語られていない実例でも、寝る前後の動きと一緒に見ると参考になることがあります。どこで着替えるか、パジャマをどこに掛けるか、起きてからどこへ向かうかが決まると、枕元に必要な照明や設備の役割も絞り込みやすくなります。
3実例を比べると、抑えたいのは明るさそのものより「寝る前の動作」だった
アーチの平屋では、ダウンライトをなくし、ブラケット照明と床上げ部分の間接照明で明るさを取り、光源が目に入りにくい寝室にしていました。調光で足元だけの明かりにも切り替えられます。
タイコーアーキテクトの建築家自邸では、今は寝室、将来は子ども部屋という前提の中で、扉の高さの差20センチを使って間接照明をつくり、調光もできるようにしていました。
エコワークスの平屋では、ベッドの間接照明を造作家具に組み込み、スマホ充電用のコンセントも一緒にまとめていました。寝室とウォークインクローゼット、LDKの動線も合わせて計画されています。
3つに共通しているのは、寝室の照明を部屋を一様に照らす設備としてだけ扱っていないことです。アーチの平屋はまぶしさを避けること、タイコーアーキテクトの建築家自邸は今の寝室利用と将来の使い方をつなぐこと、エコワークスの平屋は枕元で使う物をまとめることが中心にありました。
つまり、寝室の照明を抑えるときに先に決めたいのは、暗めにしたいかどうかではなく、何を楽にしたいかです。横になったときの見え方を整えたいのか、夜の明るさを細かく調整したいのか、枕元をすっきり使いたいのかで、選ぶ照明の場所も組み合わせも変わります。
打ち合わせで確認したいこと
- 横になったとき、天井の光源が視界に入るのは気になるか。
- 寝る前は、本を読む、スマホを充電する、水を置くなど、枕元で何をしているか。
- 夜中に起きたときは、部屋全体を明るくしたいのか、足元だけ見えれば足りるのか。
- 寝室は将来も同じ使い方か。子ども部屋への変更など、役割が変わる予定はあるか。
- ベッドヘッド、棚、コンセントを後から足すのではなく、最初から一体で考えたいか。
- 扉上の差、床の段差、壁のふかしなど、間接照明に使えそうな線が部屋の中にあるか。
寝室の照明を抑える理由は、ただ暗めが好きだからではありませんでした。まぶしさを避けたい、寝る前の明るさを細かく整えたい、枕元で使う物をまとめたい。実例ごとに優先したことが違うから、光の置き方も違っていました。打ち合わせでは、器具の名前より先に、寝る前に何をして、夜中にどこだけ見えれば足りるのかを伝えると、自分たちに合う照明計画に近づけそうです。
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